尿路結石
みなさん、こんにちは、院長の田中です。
まだまだ暑い日が続いておりますが、徐々に涼しさが感じられるようになってきました。今年の夏は熱中症で亡くなったという報道が多かったですが、これからもまだ注意は必要です。これから運動会や祭りなどの行事が続きますので、体調にはくれぐれも気を付けてください。
今回の医療特集は尿路結石を取り上げます。
実は院長も尿管結石の痛みのために入院した経験があります。めずらしくないこの病気、いつあなたも経験するかも知れません。この特集で理解を深めていただければ幸いです。
尿路結石とは?
尿は腎臓で作られ、尿管から膀胱を経て尿道から排出されます。この尿の通り道を尿路と言い、尿路にできた石を尿路結石と呼びます。激しい腰痛、血尿などの症状を引き起こします。
尿路結石の症状
尿路結石の多くは腎臓で作られ、尿道へと移動します。したがって結石のある場所によって症状が異なります。
激しい腰痛
尿管は腎臓から膀胱へと尿を送り出す通路ですが、結石が尿管につまると尿は流れにくくなり、腎臓に尿がたまって腫れる(水腎症という)と、腰に激痛が起こります。血尿
結石が尿路の粘膜を傷つけることで出血します。排尿障害
膀胱に大きな結石があると、頻尿や残尿感が現れることがあります。また排尿の途中に膀胱内で結石が動いて尿道がふさがれ、尿が途切れることがあります。排尿時痛
尿道に結石があると、排尿時に痛みを伴います。尿閉
尿道に結石がつまると、尿道がふさがり、尿が出なくなります。結石の成分
結石は尿中のミネラルなどの成分が結晶になって成長したものです。特に多いのがシュウ酸カルシウム結石で、全体の約8割を占めます。多くの場合食生活が原因となってできます。
尿路結石の診断方法は?
- 症状が血尿か腰痛のことが多いため、症状を詳しく問診します。腰痛は突然起こることが多いのも特徴です。
- 尿検査:血尿の有無や尿の酸性度などをチェックします。
- X線検査:結石の位置、腎臓の腫れを確認します。造影剤を注射して撮影すれば結石の有無、位置がわかりやすいです。
- 超音波検査:腎臓内の結石は診断できます。尿管の拡張や腎臓の腫れを調べることができます。
治療法
尿路結石と診断されたら、症状や結石の大きさに応じて治療を行います。
水分を多く取る:結石の大きさが直径5mm前後なら通常尿と一緒に自然に外へ排出できます。水分を多く摂取して、尿の量や回数を増やせば石が出やすくなります。
薬物療法:痛みがあるときは、鎮痛剤が用いられます。通常痛みは強いので、内服よりも座薬で少しでも早くに効くようにします。処置として鎮痛剤の注射もできます。
体外衝撃波結石破砕術:体外から結石に衝撃波を当てて、結石を小さく砕き、尿と一緒に排出させます。大きさが7mm以上だと自然排石は難しく治療の対象となります。
経尿道的尿管破石術:骨が障害となって衝撃波を結石にあてることができないなど、衝撃波治療が難しい症例に行います。尿道から内視鏡を挿入して、超音波やレーザーを使って、結石を砕き尿と一緒に排泄させます。
予防法
再発防止のための薬物療法:体内で尿酸が作られるのを抑える薬や、尿中の環境を結石ができにくい状態に改善する「クエン酸製剤」などが使われます。
生活習慣の改善
- 水分をこまめにとる
尿量を増やして石が排出しやすいようにします。また尿が濃くなると結石ができやすくなるので、尿を薄める意味でも水分を多めにとりましょう。 - カルシウムをとる
カルシウムを十分に摂取していると、石のもとになるシュウ酸が腸内でカルシウムと結合して、便として排出されます。乳製品や魚などを食事で積極的にとるようにしましょう。 - 動物性たんぱく質を控える
肉などの動物性たんぱく質をとりすぎると、結石ができやすくなりますので控えましょう。 - シュウ酸摂取量を減らす
シュウ酸はホウレンソウやたけのこなどのあくの強い野菜やチョコレート、ココア、コーヒー、紅茶など多くの食品に含まれており、摂取を控えることは大変です。食べるときにはカルシウムをいっしょに摂るような工夫をしてください。 - 夕食は睡眠の2時間前
夕食を食べてすぐに寝てしまうと、睡眠中に食事の成分が尿の中へ出ていきます。睡眠中は水分補給ができないので、尿が濃くなって結晶ができやすくなります。夕食は睡眠の2時間前までにすませましょう。
何科を受診すればいいのですか?
尿路結石は泌尿器科が専門です。ただ内科をまず受診するケースも多く、診断は内科でも可能です。
石が小さければ自然に出ますが、専門的治療を要するケースや、原因や予防法など泌尿器科の方が詳しいので、専門科を受診された方がよいでしょう。
排尿時に石が出ましたがどうしたらいいですか?
石は大事な診断材料です。石が出そうなときは尿道の痛みを伴うことがあり、事前にわかることもあります。
排尿時にコップの上にガーゼをのせ、石を採取しましょう。主治医に渡せば結石分析をしてもらうことができます。
最後に…
尿路結石は小さいためにわからないまま自然に尿と出るものから、大きくて痛みが出て気づくものまでさまざまです。
繰り返すことが多いので、経験された方は生活習慣に気をつけてください。
コメント(3)
2014年7月2日
昨日より座薬をもらい痛みを抑えています。尿意がなく、頑張っても一日に二回程度チョロチョロとでるくらいです。
水分はとっていますが、本当にこのまま続けて良いのでしょうか?
出ないのに、水分ばかりとっていると、腎臓にも尿管にも負担がかかるのではないでしょうか?
また、石が出ないと痛み止めが切れれば、あの激痛が再発すると思い恐怖です。
常に座薬を携帯するにも、この夏のシーズン保冷して持ち歩くのも大変です。
何か良い対処方法がありましたら、教えて頂きたいのですが。
宜しくお願い致します。
投稿時刻 16:14 | 山本
2017年5月7日
はじめまして、昨日退院したのですが、石が出ない状態で、今朝、トイレに行き尿が出なくなり、下がってきた、状態に尿が出ないのわきついです、4㎜の石なのですが、水分補給して、本当に出るんでしょうか⁉
投稿時刻 10:23 | 小林
2017年5月9日
4mmサイズでしたら自然排石できる大きさです。水分補給して体を動かしてください、縄跳びをするとよいという意見があります。
投稿時刻 00:10 | 院長 田中