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偏頭痛

みなさん、こんにちは、院長の田中です。
いよいよ4月となりました。3月より新型インフルエンザの患者さんは減り、季節性インフルエンザも流行しませんでした。このまま終息すればいいのですが、まだ油断はできないので警戒して予防に心がけてください。
3月は嘔吐下痢症や花粉症の患者さんが多くなっていますが、花粉症は飛散量が少ないために例年より患者さんは少ないです。
ただ3月22日に大量の黄砂が飛来して以降、咳や鼻炎症状がひどくなり受診される患者さんが増えています。引き続き花粉や黄砂にはご注意ください。
今月の特集は偏頭痛です。
普通の頭痛に比べて痛みが強く頭痛薬が効きにくいので、受診しないと診断や治療ができないケースがあります。
頭痛に悩まされている方、もしかしたら偏頭痛かもしれません。参考にしてください。


偏頭痛とは?

片頭痛は頭の片側だけがズキズキと痛む中等度から重度の頭痛で、運動、光、音、においなどによって悪化します。
どの年代でも起こりますが、多くは10~40歳で発症し、女性に多いです。
片頭痛のほとんどが周期的に起こり、いったん治まると痛みはうそのように消えて全く症状がなくなります。


片頭痛の症状って?

  • ズキンズキンとかガンガンと脈を打つような激しい頭痛が頭の片側に起こる。
  • 起こる回数は月に1~2回程度から多い時で週に1~2回。
  • 痛みは1~2時間でピークに達し、吐き気やおう吐を伴いやすい。
  • 頭痛の発作中は、頭を動かしただけでも痛みが増強する。
  • 音や光に対して敏感になる。


偏頭痛の前兆について

偏頭痛には前兆を伴うケースが約20~30%にみられます。
視力、感覚、バランス、動作、発話に一時的で可逆的な異常が現れます。
患者は一般にギザギザに走る光、チラチラする光、点灯する光が見えたり、または周辺部がチラチラ光っていて中心部が見えなかったりします。
片頭痛が起こる前の1時間以内に始まり、片頭痛が始まるとともに治まります。


偏頭痛が起こるメカニズムは?

何らかの原因で脳の血管が収縮し、その反動で広がりすぎた時、広がった血管が近くの感覚神経を刺激するとともに、血管の周囲に炎症が生じることから起こります。
そのため治療には血管を収縮させる作用薬を使うわけです。


片頭痛の診断は?

片頭痛の診断は症状に基づいて行われ、診断を確定するための方法はありません。
前兆の有無、痛みの性状(片側に脈うつようなズキズキした痛み)を参考にします。
他に頭痛の原因がないかCTやMRIで除外診断する場合もあります。
また一般の頭痛薬(鎮痛薬)が効かない場合に、偏頭痛治療薬が効くことが診断の参考になります。


片頭痛の治療薬

片頭痛の治療に使用される薬には、1.片頭痛を予防する、2.始まった片頭痛を止める(それ以上続かせない)、3.片頭痛の痛みを和らげるという3タイプの薬があります。

1.予防薬

片頭痛が1週間に2回以上起こる人は、予防薬を毎日服用するとかなり発作を防げます。ベータ遮断薬が最初に使われます。またカルシウム拮抗薬、抗うつ薬、特にジバルプロエックスなど一部の抗けいれん薬も効果があります。

2.発作治療薬

片頭痛が始まるとそれを止めるためにトリプタン系と呼ばれる薬を用います。
トリプタン系は脳血管の神経を刺激する受容体に特異的に作用します。
そして脳血管の拡張を回復し、片頭痛を抑えます。
片頭痛の発作が始まりそうだと感じたら、すぐに服用して発作の進行を抑えます。
発作が起きてしまってからでは効果が得られにくいので注意が必要です。
片頭痛を止めるために、他にもエルゴタミンなどの薬が使用されます。
しかし、これらはトリプタン系ほど安全性も効果も高くありません。
トリプタン系とエルゴタミンは血管を収縮させる作用があるので、狭心症などの心臓病を患っている人、それに前駆症状が脳卒中と似ている人は、動脈が収縮して脳卒中を起こす危険があるため勧められません。

3.鎮痛薬

それほど重症ではない片頭痛には鎮痛薬単独か、もしくはカフェインを含む鎮痛薬が役に立ちます。
これらは片頭痛が起きている最中に、必要に応じてトリプタン系と併用したり、トリプタンの代わりに用います。
また当院では漢方薬の呉茱萸湯(ごしゅゆとう)を偏頭痛も含め頭痛薬として用いています。発作にも有効です。


日常生活での注意点

頭痛の誘因として、過労、ストレス、睡眠不足などがありますので、普段からストレスをためないように、睡眠を十分取り規則正しい生活を送るように心掛けてください。
まぶしい場所や騒音も誘発しますので、回避するようにしましょう。
もし偏頭痛が起こってしまったら、光や音の刺激を避けて暗い静かな場所で横になって休むことが一番です。
発作治療薬がない場合は、市販の頭痛薬でも痛みはある程度和らぐことがありますので内服してみるのもいいでしょう。


最後に…

偏頭痛はいったん治まると痛みはうそのように消えてしまい、普段は何の症状もありません。
痛い時だけ対処するのではなく、頻度が多い場合は予防もしっかりしないといけません。
専門科は神経内科ですので、気になる方は受診してください。

参考文献:メルクマニュアル家庭版 偏頭痛/すっきりんのバイバイ頭痛講座「偏頭痛ってどんな病気?」

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