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貧血

みなさん、院長の田中です。
2月は積雪もあり寒かったですね。インフルエンザも流行しましたし、風邪や胃腸炎の患者さんも多い一ヶ月でした。
3月になってもまだインフルエンザは注意が必要です。ワクチンを接種しているからといってかからないとは限りませんので、手洗い、マスク、うがいなどの感染予防を心がけてください。
今回の特集は貧血を取り上げました。
女性に多いというイメージがあるかと思いますが、そのとおりで多くは鉄欠乏性貧血です。貧血症状というとめまい、ふらつきを一番に思い浮かべると思いますが、疲れやすさや動悸が多く、気がつかれないことも多いのです。中には予後不良な貧血もありますので軽く考えずに医療機関を受診しましょう。特集を参考にしていただければ幸いです。


貧血とは?

体の中で酸素を運ぶ為の赤血球のヘモグロビンの量が減って足りなくなった状態をいいます。
その為、体全体に必要な量の酸素が行き渡らず様々な症状が現れます。


貧血の症状は?

貧血

  • 疲れやすい(易疲労感)
  • 頭痛
  • めまい、立ちくらみ
  • 動悸、息切れ
  • 顔色不良
  • 眼球結膜が白っぽい
その他、鉄分が不足して起こる貧血で氷を食べたくなるという人もいます。


貧血の種類

1.鉄欠乏性貧血

鉄の不足によりヘモグロビンの産生が低下して起こる貧血(女性に多い。貧血の大部分を占めている。)

2.再生不良性貧血

骨髄の働きが低下して、血液が産生出来なくなって起こる貧血

3.悪性貧血

ビタミンB12、または葉酸の不足による貧血

4.溶血性貧血

赤血球の破壊によって起きる貧血

5.続発性貧血

がんや心臓、腎臓、肝臓などに病気があり、それに伴って二次的に起こる貧血

貧血の原因

貧血のほとんどは体の中の鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血です。
偏食やダイエットなどによる鉄の摂取不足と月経過多(子宮筋腫が原因のことがあります。)や胃・十二指腸潰瘍、ポリープ、痔、がんなどによる出血で、体から出ていく鉄の排泄量の増加によるものが主な原因です。


貧血の検査・診断

採血をしてヘモグロビン濃度を調べます。貧血の診断基準は以下の通りです。
・成人男性:13g/dl以下
・成人女性、小中学生:12g/dl以下
・幼児、妊婦:11g/dl以下


貧血の治療

鉄欠乏性貧血の治療の基本は、鉄剤の内服と食事療法です。鉄剤の内服が副作用(胃部不快感、吐き気、便秘や下痢などの胃腸症状)の問題等で、難しい場合は注射をします。

私たちの体の中には『血清鉄』と『貯蔵鉄』があります。
血液中に含まれる血清鉄は酸素を全身へ運んでいます。血清鉄が不足すると、普段は肝臓に蓄えられている貯蔵鉄が鉄不足を補ってくれます。
ただし、貯蔵鉄が底をついてしまうと慢性的な鉄欠乏性貧血となります。鉄欠乏性貧血の治療には、血液中の血清鉄を増やすだけでなく、貯蔵鉄を回復させる必要があります。食事療法だけでは回復は難しく、内服や注射が必要となってきます。貯蔵鉄が回復するまでには半年近くかかる場合もあり、定期的な受診が必要です。


効率的な食事の取り方

食品中の鉄には体内で吸収されやすい『ヘム鉄(吸収率10~30%)』と、吸収されにくい『非ヘム鉄(吸収率5%以下)』があり、鉄を効率よく摂るにはヘム鉄を多く含む食品(=肉類)を食べましょう。
ただし肉類ばかり摂れば良いわけではなく、野菜など非ヘム鉄の多い食品もビタミンCを合わせて摂ることで、効率よく鉄を摂ることができます。
タンパク質は赤血球やヘモグロビンの材料となる栄養素なので、鉄と同様に大切です。
肉や魚のタンパク質は、非ヘム鉄が消化管内で溶かすのを助け、非ヘム鉄の吸収を高めます。
鉄は吸収されにくい栄養素ですが、中でもコーヒー、紅茶、ウーロン茶に含まれるタンニンは吸収を阻害すると言われています。レモン水はビタミンCを補給出来ます。ココアは鉄や亜鉛を含んでおり、アサイージュースは鉄分、ビタミンCを多く含んでいます。


鉄分を多く含む食材

ヘム鉄 非ヘム鉄
牛肉・マグロ・豚肉・ブリ・鶏肉・イワシ・レバー類・わかさぎ・カツオ・煮干し
など
アサリ・ごま・シジミ・ブロッコリー・ひじき・パセリ・のり・切り干し大根・卵・大豆・ほうれん草・あずき・小松菜
など

※これだけ摂っていればOKという食材はありません。栄養素は体の中でチームとなり働いていますので、偏りなくしっかり食べることが大切です。


貧血の予防

良質のたんぱく質と鉄分が不足しないように気を付け、鉄分は毎食確実に摂るようにしましょう。
食事はよく噛んでゆっくり食べましょう。胃酸が分泌され、鉄などの消化・吸収が高まります。


最後に…

貧血が疑われる方は内科を受診してください。
血液疾患が原因であり、さらに精密検査や治療が必要な場合は血液内科専門医を紹介してもらってください。
当院でも貧血の診療はできますが専門医ではないため、必要時姫路赤十字病院、姫路医療センターに紹介しておりますのでご相談ください。

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