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甲状腺の病気 〜機能亢進症・機能低下症〜

みなさん、こんにちは、院長の田中です。
これを書いている4月の末は気温が上がったり下がったりで変動が激しいので体調を崩される方が多いようです。
インフルエンザもまだ診断例がありますし、集団での流行例も報告されていますのでまだ気を緩めることが出来ないと思われます。GWはお出かけになられる方も多いと思いますがお疲れが出ませんように願っております。
春は健康診断が多い季節でもありますね。結果が返ってきて精密検査や再検査を薦められたら放っておかずに必ず医療機関を受診しましょう。
今回取り上げる甲状腺機能異常については健康診断項目に入っておりませんが、自覚症状やレントゲン、心電図、採血結果で手掛かりになる場合があります。
甲状腺がどんな働きをする臓器なのかも含めて、特集を通じて知識を高めていただければ幸いです。


甲状腺とは?

体全体の新陳代謝を促進するホルモン(甲状腺ホルモン)を出すところで、全身の代謝を維持するのに重要なホルモンです。
喉ぼとけの両側にあり親指くらいの大きさで蝶が羽を広げたような形をしています。
甲状腺の病気には、「機能亢進症」「機能低下症」があります。これは、ホルモンのバランスがくずれることで自分の甲状腺を外的とみなして攻撃する「自己免疫疾患」のひとつです。
なぜそのような反応が起こるのかは、いまだに原因がよくわかっていません。


甲状腺機能亢進症とは?

甲状腺ホルモンが出過ぎて働きが強く出る病気です。そうなると、安静にしていても心臓がドキドキしたり、十分に食べているのにやせていったり、イライラや疲れやすいといったさまざまな症状が起こります。
また、骨吸収が進み骨粗鬆症なども起こりやすくなります。多くの場合、甲状腺は腫れて大きくなりますが、腫れの程度と病気の強さは必ずしも一致するわけではありません。

症状

機能亢進症の症状

検査・診断

症状と以下の検査で診断できます。
血液検査:甲状腺ホルモン(freeT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定
バセドウ病ではfreeT4が高値、TSHが測定できないくらいに低値になります。
TSH受容体抗体の測定。バセドウ病の場合は陽性となります。
超音波検査:甲状腺の大きさ、甲状腺内の血流、甲状腺内部にしこりがないか検査します。

治療

【内服療法】
甲状腺の働きを抑える薬を飲みます。ホルモンのバランスを見ながら徐々に薬を減らしていきます。
2年程度は薬を飲み続けないと、薬をやめた後の再発率が高くなるので、症状がなくなっても根気よく薬を続けなければなりません。
特に重要な副作用として、白血球が減って体の抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなります。
急に扁桃腺が腫れて、38.0℃以上の熱が出たら風邪と考えず、薬の副作用の可能性を考え、必ず病院を受診する必要があります。
※市販の風邪薬には、頻脈によくない成分が含まれているものがあるので安易に服用するのは注意してください。
【外科療法】
大きく腫れた甲状腺を手術で切って小さくする治療法です。
【放射性ヨード内服療法】
放射性ヨードをカプセルに入れて内服します。放射性ヨードは甲状腺に取 り込まれ、大きくなり過ぎた甲状腺を放射線で焼いて機能を抑えます。
日常生活 甲状腺の機能が亢進している間は、心臓にも負担がかかっているため、ある程度活動を制限する必要があります。
十分な栄養と休息をとりストレスをためないようにしましょう。
甲状腺ホルモン値が正常になれば普通の人と同じ生活でかまいません。タバコは良くないので禁煙しましょう。

甲状腺機能低下症とは?

甲状腺ホルモンの分泌が減少して全身の代謝が低下する病気です。
そうなると、元気がなくなり寒がりになる、無気力になる、むくみが起きやすくなるなどさまざまな症状が起こります。
男性よりも女性に多く発病します。

原因

●橋本病によるもの:慢性甲状腺炎ともいいます。炎症ですが、ウイルスや細菌によるものではなく感染しません。甲状腺機能低下症で一番多いのが橋本病です。
●先天的なもの:クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)があり、小児にみられます。
●一過性のもの:妊娠や出産後、一過性に甲状腺機能が低下することがあります。

症状

甲状腺機能低下症の症状 ※症状がさまざまですので他の病気と間違えやすいため、発見するまでに時間を要することがあります。

検査・診断

血液検査:甲状腺ホルモン(freeT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定
橋本病ではfreeT4が低値、TSHが高値になります。
健康診断で測定するコレステロールが高値になることがあり、これがきっかけになって甲状腺機能低下がみつかることがあります。

治療

【内服療法】
内服治療が一般的です。不足している甲状腺のホルモン剤を内服して補充します。服用量をきちんと守れば副作用の心配はありません。
定期的にホルモン量を測定し、薬の量を加減しながら長期的に内服を続けます。
日常生活 甲状腺機能亢進症の場合と比べて、ヨードの摂取には少し気を付けたほうがよいです。
甲状腺ホルモンが少ない状態なので、その原料となるヨードを摂ったほうが良いと思われがちですが、機能低下を更に悪化させることがあります。
一般的な食事では、昆布が圧倒的にヨードを多く含んでいます。
毎日のように摂るということはしないほうがよいです。他のわかめや海苔などの海藻については沢山食べなければ大丈夫です。
その他の注意点は、甲状腺機能低下の度合いによって異なりますが、十分な睡眠や休養を心がけましょう。タバコは甲状腺疾患にはよくないといわれていますので禁煙しましょう。

妊娠・出産について

機能亢進症、機能低下症どちらの場合であっても妊娠しにくくなりますが甲状腺ホルモンを正常にしておけば妊娠、出産も問題ありません。
甲状腺ホルモンはもともと人が甲状腺で合成しているホルモンと同じものですので、妊娠、授乳中に服用してもさしつかえありません。
妊娠中は甲状腺機能をきちんと管理することが勧められています。


最後に…

甲状腺亢進症や低下症は採血による検査結果が診断の決め手となりますので、当院でも診断は可能ですが、甲状腺の内部構造を調べるために超音波やCT検査は他院でお願いすることになります。
当院では 他の医療機関と連携をとりながら診療ができますのでご相談ください。

コメント(4)


2015年1月6日

はじめまして。5年ほど前から更年期か自律神経失調症かと思っていたのですが、治りません。症状はとにかくしんどい、不眠(薬を飲んで寝ている)光が眩しい、息切れ、異常な寒がり、夏は汗が出ないので体に熱がこもる、めまい、立ちくらみ、無気力、記憶力の低下などなどあり困っています。それから歩いているとだんだんふら~として気が遠くなりかけます。
甲状腺機能低下症と症状が一致してるような気がします。
今まで婦人科と循環器内科で見てもらいましたが(息の仕方が分からなくなった)、心療内科に行きなさいと言われましたが違うようなきがします。やはりこれは甲状腺異常の症状ではないでしょうか?
先生の意見をお聞かせ下さい。
それから、通院させてもらう事になれば椅子に座って待つのも辛い状況の時が多いので中で順番が来るまで横になって休ませてもらえるスペースはありますか?
よろしくお願いいたします。

投稿時刻 22:53 | 杉谷みつえ

2015年1月12日

杉谷様、返事が遅くになり申し訳ありませんでした。
内容を拝読すると甲状腺機能低下でも矛盾はありません。婦人科で診てもらったということですので更年期障害は否定されたのでしょうか?甲状腺機能をチェックしましょう。
当院では待ち時間が長くご迷惑をおかけしていますが、気分や体調の悪い方は順番までベッドで休んでいただくことは可能です。ただしベッドをすべて使っている状況が発生していますので、その場合空き次第案内させていただきます。

投稿時刻 23:30 | 院長 田中

2015年4月4日

はじめまして。アドバイス頂きたくコメントさせて頂きます。
現在、海外在住で妊娠29週の者です。体外受精で授かりました。
赤ちゃんは2週分くらい小さいと言われています。
2ヶ月前にTSHの血液検査で0.005、FT3,FT4は正常値内⇒一ヶ月後TSH0.01以下(別の病院でしました)
FT3、FT4はともに少し増えたが正常値内上限ぎりぎりくらい⇒現在、TSH0.01以下、FT3⇒5(上限4.50)、FT4⇒2.01(上限1.80)と高値になってしまいました。

エコーは問題なし。
AbTg,THIBIAは問題なしと言われています。

今の所治療なしで1ヶ月に1度血液検査で様子見と言われています。(高値になってからはまだ受診していません。)
次の受診は1週間後です。

毎回の受診では、全然気にしなくてよいといわれてきましたが、TSHが異常に低く、FT3,4が増えてきていたのに治療しなくてよかったのでしょうか。
赤ちゃんへの影響は大丈夫なのでしょうか。
妊娠後期でFT3,4が高値になることはおかしくないでしょうか。
1週間も治療なしで待っていて大丈夫なのでしょうか。

不妊治療前はTSHは正常でした。

すみません、今住んでいる国では言葉がよく通じず、心配ばかり募ってしまい、質問ばかりですが、
できる範囲でかまいませんので、先生の意見を聞かせて頂けたら幸いです。

投稿時刻 05:28 | 平井 

2015年4月5日

現在のところ治療の必要性はないように思いますが、今後どのように考えたらよいのか、妊娠への影響を考えた場合、私の知識を超えております。私は呼吸器専門医で内分泌疾患は専門外なので的確な回答ができません。HPでの特集は勉強シリーズとして連載しており、呼吸器疾患以外は本で得た知識を紹介しているのにすぎません。ご期待に沿えず申し訳ありません。他にどなたか回答できる方がいればよいのですがすぐには思い浮かびません。またそういう方がいるようならお知らせいたします。

投稿時刻 09:19 | 院長 田中

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