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百日咳(ひゃくにちぜき)

皆さん、こんにちは。院長の田中です。今は梅雨の真っ最中、雨が多く憂鬱ですね。
気温も湿度も高くなりかなり不快な日がありますが、熱中症にも気を付けてください。
また最近では食中毒の患者さんも増えてきましたので食品の衛生管理にも気を付けましょう。

今回の特集は百日咳を取り上げました。
子供の病気と思われがちですが、子供から成人へ感染する機会も多く、なかなか診断がつかずに苦しんでいる方もおられます。
しつこい咳の中には百日咳もあることをお忘れなく。
記事を参考にしていただければ幸いです。


百日咳とは

百日咳患者の咳やくしゃみによるしぶきを吸入することにより、百日咳菌に感染し、1週間から10日の潜伏期間を経て発症する気道感染症です。
1年中みられますが、比較的春から夏にかけて多く発症します。 最初は風邪のような症状で、長期間続く激しい咳が特徴です。
咳は長く続きますが2~3週間で感染性はなくなります。菌が産生する毒素で気道粘膜が刺激されて咳が生じます。
大人は咳が長引く程度で重症化しにくいですが、子供(特に乳幼児)に感染するとひどい咳が出て、肺炎や脳症等も起こしやすい危険な病気です。


病期

長引く咳 百日咳
  1. カタル期(約2週間) 
    普通の風邪症状(微熱、咳、鼻閉、鼻汁など)、百日咳かどうか区別が難しい。初期に最も感染力が強い。
  2. 痙咳期(2~3週間) 
    百日咳の特徴的な「発作性けいれん性咳そう」が見られる。特に夜間に激しく咳込み、百日咳様の顔貌(舌の突出、真赤な顔、まぶたのむくみ等)が出現する事がある。微熱、息を吸うときにヒュー音がある。
  3. 回復期(2~3週間) 
    咳は軽くなるが長引く。成人ではこの時期に咳が続くと受診されることが多い。

診断

14日以上続く咳に「発作性の咳込み」「吸気性笛声」「咳込み後の嘔吐」のいずれか1つ以上伴っていれば臨床的に百日咳と診断できる。

  • 発症後、4週間以内であれば病原体の分離培養、LAMP法で確定診断ができる。
  • 感染後、90%以上でPT-IgG抗体およびFHA-IgG抗体が検出できる。

ペア血清での診断が基本であるが、単血清でPT-IgG抗体が100EU/mL以上あれば確定できると考えられる。


治療

咳が出始めてから2週間までの間に抗生物質を内服することが有効です。
5~7日の内服で菌の感染力が低下し、2週間の内服で菌が消滅します。3週間以降だと菌自体が消失しているため、効果は期待できません。
一般的な咳止めでは、効果がないため市販薬を自己判断で服用せず、医師の指示のもとで治療を受けることが大切です。


予防

ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合ワクチンを接種していても、予防効果は10~12年で切れるといわれています。
ワクチン接種者や成人は症状が特徴的でなく、診断が遅れやすいので初期に感染を拡げてしまうことがあります。
風邪の予防と同様に手洗い・うがい・マスクの着用を心がけ、人混みを避けましょう。家族など患者との濃厚接触者には、マクロライド系の抗菌薬を予防内服することも可能です。


学校、職場へはいつから行ったらいいの?

子供の場合
・学校保健法により、百日咳特有のひどい咳が治るまで。(診断から約3週間)
・特有の咳が消失するまで、または抗菌療法が終了するまで。

大人の場合
・病院で出勤可能かどうか?もしくはどのくらい休むべきかを尋ねてみたり、各職場の規定にあわせてください。(マスクを使用する)


最後に…

当院では慢性咳嗽で受診される患者さんが多いため、その中には百日咳と診断されるケースがありますがほとんどが回復期です。
なかなか咳止めが効かず治療に苦労しておりますが、喘息の吸入薬や漢方が効くケースがありますのでご相談ください。

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