持続する咳
みなさん、こんにちは、院長の田中です。
新年を迎えたかと思ったら早いもので一ヶ月が過ぎてしまいました。新型インフルエンザ流行は下火になってきました。通常でしたら季節性インフルエンザが流行する時期ですが、まだ到来しないので不気味です。
1月末にインフルエンザの注射治療薬が新しく発売されました。従来の薬で内服や吸入が難しい症例など機会があれば使ってみようと思っています。
さて今月の特集は「持続する咳」を取り上げます。
過去に一度特集しましたが、最近患者さんが増えておりますので内容を刷新し、特集いたしました。
持続する咳とはどれくらいの期間続くことを言うのですか?
学会では発症後3週間以内の場合を急性、3週間を超えると遷延性、8週間を超えると慢性と分類しています。
ただし、長いか短いかの感じ方は人それぞれです。当院では2週間以上で持続する咳として専用の問診表に記入をお願いしています。
長引く咳専用の問診票とは?
考えられる疾患をもとに院長がオリジナルで作成しました。咳や痰の性状、鼻症状の有無、アレルギーの有無・咳を誘発する因子などをチェックしていただきます。
●問診票をダウンロードする
※どちらをダウンロードしてもらっても結構です。お使いの環境に合わせて選択してください。
※ご記入後、当院にご持参いただきますとスムーズに受付できます。
※PDFファイルをご覧になるにはADOBE READERが必要です。ADOBE READERのダウンロード
急性の咳の場合の原因は?
急性のほとんどが風邪などの感染症です。ただし慢性の咳の初期の可能性もあるので、すべての原因があてはまることになりますので、持続時間だけで鑑別することは困難です。
持続する咳で一番多い疾患は?
統計上一番多いとされるのが咳喘息です。気管支喘息というとぜーぜーといって息苦しい発作が起こる病気です。咳喘息は咳だけで息苦しさはほとんどなく、ぜーぜーという音は聞こえません。
しかし咳喘息の2~3割の患者さんは気管支喘息へ移行するとも言われており、早期に治療が必要です。
治療は喘息に準じて行われます。
長引く咳の診断手順は?
問診:問診表をもとに直接詳しく病状を聞きます。
聴診:呼吸音を聴きます。喘息だとぜーぜー音が聞こえます。
X線:肺癌や結核といった重大な病気を見逃さないようにするためにレントゲンを撮ります。
採血:アレルギーの有無や感染症の有無について調べます。
肺機能検査:気管支拡張剤の吸入前後で肺活量を検査して反応がある(肺活量が改善するかどうか)を見ます。これを気管支可逆性検査と言います。
気管支可逆性検査とは?
一秒間に吐き出す肺活量(一秒量)を目安にして気管支拡張剤に反応して増えるかどうかを確認する試験です。
気管支拡張剤は喘息の治療に使いますので、一秒量が200ml以上かつ吸入前の12%以上改善していたら喘息の診断がつきます。
有意に改善しなくても咳症状に改善が見られたら咳喘息の可能性がありますし、症状改善の有無は治療薬選択の参考になります。
意外と多い逆流性食道炎による咳
胃液が食道に逆流すると神経の刺激により気道収縮がおこり咳がでます。
咳の出やすい時間帯は夜間です。大部分がよく症状を聞くと、胸焼けやげっぷといった症状があります。胃カメラやバリウムを飲む検査で診断します。胃酸を抑える内服薬で咳症状がよくなります。
鼻水が咳を誘発する副鼻腔気管支症候群
副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻炎が原因となり咳が出現します。
鼻とのどはつながっており、鼻水をすするとのどに流れることを経験したことはありませんか? この現象は後鼻漏といい、気管支を刺激して痰を伴った咳となります。夜間から朝に多く、鼻水のような痰がでる人はかなり疑いがあります。
治療には抗生物質と痰を出しやすくする薬を使います。
薬の副作用で咳が出ることがあります
ACE阻害剤という降圧剤の副作用で咳がでます。薬を中止すれば咳はおさまりますが、降圧剤を変更してもらいましょう。
のどがかゆい、いがいがする、こそばいといった咳
これらの咳は風邪でもみられますが、長引いた場合は喉頭アレルギーまたはアトピー咳が疑われます。花粉症の人で鼻がむずむずしたり眼がかゆくなりますが、同じことが気道で起こっていると考えてください。
両者の違いはアレルギーの部位が喉頭だけか、気管や気管支かであり、症状は大差ありません。治療は抗アレルギー剤かステロイド(吸入または内服)がよく効きます。
風邪をひいた後に長引く咳
この中には咳喘息も入ってきますが、多くは風邪の後に気道が敏感になって出る咳で、感冒後遷延性咳と言います。この場合ものどのかゆさを訴える人が多いです。 時間がたてば自然におさまりますが、症状緩和には抗アレルギー剤と咳止めの併用が有効です。
詳しく調べてもわからない咳、咳止めがきかない場合
精神的な要因やストレスが原因かもしれません。ほかの疾患が除外できてはじめて疑い、神経性咳そうという病名がつきます。
咳はかなり大きく、生活に支障をきたしますが、重症感が乏しいのが特徴です。また睡眠中には咳は出ません。小児期や思春期の患者さんが多いです。
治療は精神を安定させる薬を処方したり、カウンセリングなどの精神医学的な専門的治療を要する場合があります。
最後に…
内科外来を受診するきっかけの症状で一番多いのが咳だそうです。
もちろん風邪による咳が含まれますので当然かもしれませんが、長引くとなると風邪ではなく他の原因を考えなくてはなりません。当院でも一番多いのが咳喘息です。
専門的に診断しておりますので、症状のある方はご相談ください。
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