田中クリニックTOP

咳喘息

皆さん、こんにちは、院長の田中です。いよいよ10月となりました。普段ですともうすぐ秋祭りがあり準備で忙しくなる頃なのですが、太鼓の練習の音も聞こえず、なんだかさみしいですね。
10月からインフルエンザワクチンの予防接種が始まりました。基礎疾患のある高齢者は特に10月中に接種するようにしてください。昨年は11月下旬より流行が始まっています。
これから新型コロナ感染症がインフルエンザの流行時に第3波として到来するかもしれません。予防接種も含め今後さらに感染対策を強化してください。

今回の特集は咳喘息です。
咳の原因には多くの疾患がありますが、咳喘息は長引く咳の原因として最も多いとされていますので参考にしていただければ幸いです。


咳喘息とは?

咳喘息は、喘息で聞かれる喘鳴(のどから胸の辺りにかけてゼーゼー、ヒューヒューといった音)や呼吸困難がなく、慢性に咳だけが続く病気で、喘息の前の段階と考えられています。
咳喘息の約3割の人が喘息に移行すると言われており、早期より治療することが大事です。
原因はよく分かっていませんが、多くは風邪に続いて起こります。
風邪の後に3~4週間以上咳が続いたら、この病気を考える必要があります。


咳喘息の特徴

  • 他に原因となる病気がないのにいつまでも咳だけが続く
  • 咳は数ヶ月から、ひどい場合は1年以上続くことがある
  • ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴や呼吸困難はない
  • 咳は夜間から明け方にかけてでることが多い
  • 冷たい空気やタバコの煙を吸うと咳き込みやすい
  • 会話、電話応答、運動などのときに咳き込みやすい
  • かぜ薬や咳止めを飲んでも効かない
  • 気管支拡張薬が有効

その他の参考事項

  • 胸部レントゲン検査で異常がない
  • アレルギー素因のある人に多い
  • 女性に多い(男:女=1:2)
  • 再発を繰り返すこともある

喘息以外に咳喘息と鑑別を要する病気

慢性に咳が続く病気のほとんどが鑑別になります。

  1. アトピー咳嗽
  2. 副鼻腔気管支症候群…副鼻腔炎の既往歴、鼻水が喉の奥に流れる、仰向けに寝ると咳や痰が出る
  3. 百日咳・マイコプラズマ肺炎…家族や職場などで同じ症状の人がいるか
  4. 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫・慢性気管支炎)…長期の喫煙歴や労作時の呼吸困難
  5. 間質性肺炎
  6. 結核
  7. 肺癌
  8. 降圧剤の副作用
  9. 逆流性食道炎…食後の胸焼けや曖気(げっぷ)
  10. 心不全…臥床すると咳が出て息苦しい、体を起こすと楽になる

詳しく問診をし、レントゲンを撮って鑑別診断をすすめていくことになります。


診察室ではどのように診察をするのですか?

一般の内科診察と同じですが、聴診器をあてるときに、普通の呼吸だけではなく、努力していっぱい息を吐き出したときに肺雑音が聞こえないか注意して聴きます。
ゼーゼー、ヒューヒューと聞こえれば喘息の可能性が高いです。
本人は自覚していなくても聴診器で聴こえることがあるのです。


診断のための検査

■胸部レントゲン:除外診断としてレントゲンをとります。結核や肺癌など咳をきたす疾患を否定しておくことが大事です。

■肺機能検査:気管支の狭まりがないか調べます。喘息で症状があるときは閉塞性障害(気道の狭くなっている状態)が認められますが、咳喘息では正常です。
■呼気ガス分析:吐く息に含まれている一酸化窒素の濃度を測定し気道のアレルギーの炎症の程度を調べます。


気管支拡張剤を吸入する前後での肺機能検査

咳喘息は気管支拡張剤が効くことが特徴です。
これは気管支喘息にも共通しています。

外来では、喘息の発作時に吸入してもらう気管支拡張剤を、検査として吸っていただき、その前後で肺機能検査をして改善がみられるか?症状に改善がみられるかどうかみています。
喘息では肺機能に有意な改善がみられるのですが(症状安定時には認めず)、咳喘息はもともと閉塞性障害がないので有意な改善は認めません。


治療

通常の咳止め(市販薬・処方薬とも)は効きません。
治療は喘息と同じで、吸入ステロイドが基本です。

吸入ステロイドの効果は喘息に比べれば早くにみられ、初日から効果が得られることもあります。
夜間不眠や生活に支障があったり、苦痛であるときは長期作用型気管支拡張剤を併用します。
吸入剤(または貼付剤)を使うことが標準です。
また、正しく吸入をして治療効果を見ていく為当院では看護師が吸入指導を行っています。


予後

咳喘息は治療の反応がよく、ほとんどの症例で無症状にもちこむことができます。
喘息は治ることが困難な病気ですので、コントロールがついても予防治療を続けなくてはなりませんが、咳喘息はいったん治療をやめて様子をみることができます。

当院での経験では早い人で3か月で終了、平均半年で治療を終了しています。
ただし再燃することもありますので、2回目は治療期間を長めにしております。


最後に…

咳は内科外来の主訴で最も多い症状と言われており、風邪の咳なら風邪薬や咳止めで治まったり、自然に治ることもあるのですが、長引いた場合にいろんな病気と鑑別が必要になってきます。
当院は呼吸器内科専門医療機関として咳の診療には力を入れて取り組んでおりますのでどうぞご相談ください。

コメント(0)


お気軽にコメントをお寄せくださいね。

コメントを投稿


コメントRSSフィード

コメントフィード

ページの一番上に戻る