過換気症候群
みなさん、こんにちは、院長の田中です。
4月は後半から気温が上がり、夏日の日がありましたが、日中は暑くなっており、朝晩の温度差で風邪をひかれたり体調を崩された方の受診が増えております。衣服で上手に体温調節をはかってください。
4月下旬でもまだインフルエンザは発症しており終息はしておりませんのでひき続き注意は必要です。
今回の特集は過換気症候群です。精神的な要因のある人に多いのですが、たとえばコンサートで興奮して息を弾ませているうちに過換気となり、息苦しくなるというケースも報告されており健常人でも起こりえるのです。
あまりにも息苦しく、死ぬのではないかという恐怖体験から、予期不安が生じ繰り返す場合がありますので心療内科的アプローチが必要な場合もあります。
発作時の処置などを掲載しましたので参考にしてください。
過換気症候群とは?

- 突然あるいは徐々に息が苦しくなる
- 胸の締めつけ感
- 手足や唇のしびれ
- 全身のふるえ
- 頭痛やめまい
- 意識消失
上記の症状を繰り返す心身症の一つです。呼吸が速く浅くなって、空気を吸い込みすぎる状態になり、血液中の二酸化炭素が少なくなって起こります。
二酸化炭素が減ると血液がアルカリ性に傾き、筋肉のけいれん、しびれなどの症状が現れます。
※心身症とは…精神のバランスを崩し、身体にも症状が出ることをいいます。
発作自体は約30~60分程度で自然に軽快していきます。しかし、「死ぬのではないか」という不安の強い人では数時間続くことがあります。
決して死ぬことや後遺症を残す事はなく、どんなに強い発作でも時間とともに必ず軽快していきます。
苦しいから息を吸おうとしますが、それは逆効果です。あせらず、まず気持ちを落ち着かせましょう。そして、呼吸を落ち着かせましょう。
発症の原因は?
過換気症候群は主にストレスや不安が原因で起こりやすくなります。
心理的緊張、怒りなど気分を興奮させる状況で生じやすく、過労、寝不足、風邪による発熱でも発症は助長されます。
診断
発作時に、動脈の血液検査で、身体の中の酸素の量と二酸化炭素の量を病院で調べてもらいます。
発作時には血液中の二酸化炭素が少なく、逆に息苦しいのですが酸素は高くなっています。
また、血液がアルカリ状態になっています。そして、その状態を説明できる身体的異常が特定できない場合、診断されます。
ストレス以外で起こる過換気
脳や肺の病気、ホルモンの異常などが原因で起こる過換気もあるので要注意- 胸の圧迫感や痛み⇒肺塞栓、心筋梗塞
- 頭痛⇒脳出血、くも膜下出血
- 糖尿病や腎臓病⇒糖尿病性腎症
治療
以前はペーパーバック法といって紙袋を口にあて、吐いた空気を再度吸い込む方法が一般的でした。
しかし最近は、ペーパーバック法は危険な場合もあるということであまり薦められていません。
危険な理由
- 過換気の原因が重篤な病気である可能性もあり、その場合は死亡させる危険もある
- 二酸化炭素そのものが、不安を助長させる可能性がある
- 低酸素を来たし、死亡させた報告もある
過呼吸の正しい応急処置
- 呼吸のリズムを整えてあげる
- 吐くことに意識「吸う:吐く」=1:2
- 1回の呼吸で10秒くらいかけて吐く。(吐く前に1~2秒くらい息を止める)
- 胸や背中をゆっくり押す(速くなった呼吸を整えるため)
不安が強すぎるために自分の努力や工夫だけでは発作がなかなか治まらない場合には、精神安定剤の注射がよく効きます。
しかし、病院(注射)ばかりに頼っていては、自力で発作を抑えるコツがつかめないという事態になってしまいます。
軽い発作であれば「来たな!よし!」という心構えで、不安なことは考えないようにしましょう。
過換気発作が頻繁に起こる人には、予防的に抗不安薬を毎日服用することが必要です。
腹式呼吸法を習得したり自分に合ったリラックス法を見つけて下さい。(例えば…癒しの音楽を聴く、お風呂に入る、アロマ、ストレッチやヨガ、好きな飲み物を飲むなど)
また、心理的葛藤やストレスが原因となっている時には、これらを解決するような心理療法が必要ですので心療内科を受診してください。
日常生活の注意
日頃からストレスをたまらないように、生活の中でちょっと肩の力を抜いてみる、趣味などで気分転換を図ることが大切です。
不安があれば心療内科などの専門家に相談してください。
最後に…
当院でも過換気症候群の診療をしております。
必要があれば心療内科への紹介も行っておりますのでご相談ください。
コメント(22)
2018年1月13日
37歳の息子のことでお尋ねします。昨日マラソンの練習(約30㎞)後、手足のしびれと呼吸の苦しさ救急搬送、血液検査、心電図、胸部X線検査、CT検査(脳、胸部)では、基礎的な疾患は認められず、「過換気症候群」と診断されました。ストレスが原因の場合が多いとのことでした。来月愛媛マラソンに向けて、20~30㎞の練習に励んでいました。昨日は、雪も昼降る寒さのなかでの気象状況や練習の量(距離の長さ)なども身体に及ぼす負担、疲労によるストレスとの関連はあるのでしょうか?本人は、再びおなじょような症状に見舞われるのではないかという不安もあると言っておりますが、練習量などの仕方に対する工夫や配慮する事柄などがありましたら、ご助言をいただきたいのです。よろしくお願いします。
投稿時刻 15:20 | 田中悦子
2018年1月14日
電話で回答したとおりですので簡単にします。
冷気の吸入と走る行為で呼吸が早くなり、過換気に至ったのだと思われます。
防ぐためには急に走らずに十分ウォーミングアップをすること、十分な睡眠など規則正しい生活習慣に心がけてください。
一度発作を起こした方は予期不安が起こりやすく、練習量は少しずつ増やして慣らしていくほうが良いでしょう。
投稿時刻 14:53 | 院長 田中
2018年2月8日
21才女子大学生です。
2年ほど前から過換気になるようになりました。息が上がるような事をした時、寝ている時に過呼吸になります。何度か救急搬送され病院で色々調べても原因は分からずにいます。一時期精神科にも通院し、抗不安薬を処方されましたがよくならず通院をやめてしまいました。症状は2、3時間過呼吸になりっぱなしでそのあとは脱力、頭痛が酷く一日うごけません。お休みで寝て過ごせる日は横になってる方が楽なのでベットにいるのですが過呼吸を繰り返してしまう時もしばしば。長時間続いてしまう原因がありましたら教えていただけると幸いです。
投稿時刻 17:39 | 鈴木美香
2018年2月11日
鈴木さんへ
過呼吸の原因はストレスや心因が一番多いので、長く続くと言っても頻度的には精神的要因を考えたいところです。抗不安薬が効かないとのことですが、弱かったのかもしれません。過換気症候群やパニック障害の場合、予期不安が強いので、発作を認めなくなるように強くしていく必要があると思います。
もう一度心療内科受診をご検討ください。
投稿時刻 16:19 | 院長 田中
2018年2月16日
過呼吸が度々あり心療内科通っています。最近、薬が効かなくなって来て強い薬になりましたが一向に治りません。3年位に更年期に入りましたが、いわゆる更年期の症状はありません。婦人科の先生がホルモン治療は?と言われてましたが心療内科の先生は反対しています。
夜、過呼吸になるのは珍しいと内科の先生は言います。心臓や肺すべての検査をしても皆、ストレスと言います。4ヶ月前から初めて過呼吸になり、傷病休暇を取っています。ゆっくり過ごしているのになぜか夜、過呼吸になる日が多く今、処方されている薬はラミクタール100mgリフレックス15mgレキソタン2mg
レキソタンは1日4錠位使います。どうしてよいのか苦しいのでコメントしてしまいました。
投稿時刻 15:49 | 長岡康子
2018年2月19日
永岡さんへ
夜は睡眠中ですか?睡眠前ですか?睡眠中出れば無呼吸症候群を否定しておく必要があります。
結構強い向精神薬が投与されており、効きにくいとなるとどうすればよいのか私にも答えることができかねます。
投稿時刻 00:46 | 院長 田中
2018年5月15日
10年前から鬱病です。クリニックに通っていても年齢を重ねる事に過換気症候群の症状が出てます
最近になってより酷くなったように思います。
そちらの病院はどの様な治療をしてますか?
投稿時刻 09:27 | 工藤ひろみ
2018年5月29日
工藤様、回答が大変遅くなってお詫び申し上げます。
過換気症候群に対する決まった治療法はありません。メンタル面に問題がある方は心療内科を紹介しております。
当院でも向精神薬や漢方治療でメンタルに対する薬物療法は試みております。
投稿時刻 22:52 | 院長 田中
2019年4月1日
過換気症候群と診断されました。
いつも症状がでるのが決まって夜中なのですが、それにはなにか理由があるのでしょうか?
投稿時刻 08:03 | 優希 莉音
2019年4月2日
夜中というと睡眠中でしょうか?不安になると出やすいとは思いますが、理由についてはわかりません。
寝ている時に悪い夢でも見れば起こるかもしれません。精神的なアンバランスが起こりやすい状況があれば引き金にあると思われます。
投稿時刻 23:15 | 院長 田中
2019年4月23日
仕事中に、まず少し呼吸が乱れます。
それから後頭部あたりがツーンと冷たくなってきて冷や汗をかきます。背中が痛くなってきて手足が痺れ始めます。
もっと悪くなると目がチカチカしてきて、さらに酷くなると手が硬直し目の前が真っ暗になります。
7.8年前くらいから半年から年に1回くらいのペースで同じ症状が起こります。
決まって過換気と言われますがメンタルは弱くありません。
本当にストレス性の過換気なのか疑っています。
そして原因と改善方法を知りたいです
投稿時刻 14:08 | とみふ
2019年5月1日
とみふさんへ
症状からは過換気症候群で矛盾しません。メンタルに問題がなくても起こります。
興奮しただけ起こる場合もあります。コンサートで起こるのがそれです。
どういった状況で起こるのか記録してみましょう。共通した原因がつかめるかもしれません。
それが分かれば対処もできるかと思われます。
日々疲れないよう、ストレスを感じないようにする、ありきたりのことしか書けませんが予防策を取ってください。
投稿時刻 22:45 | 匿名
2019年5月20日
こんばんははじめまして、先週から最初はただのドキドキだけだったんですが…過呼吸が1度起こってしまってから数日過呼吸が続いてしまいました。痙攣、手足のこわばり、胸が苦しい痛いと言った状態が1日に2回も起こりました…少し長く歩いたりするとすぐに息苦しいです。心療内科で鬱とトラウマ、バニック障害など言われていて、精神科に行くしか無いと言われました…1人で居るのが怖いので、なるべく1人は避けています。本当に精神科入院して治るのでしょうか?精神科入院は初めてで怖いです。
どうしたらいいですか?愛知に住む46歳女性です。
投稿時刻 00:25 | 鈴木喜美子
2019年5月27日
数年前なら過呼吸症候群です。
酷い時には意識を失い、おもらし(尿、脱糞)をしてしまいます。
おもらしは何故起こるのでしょうか?
投稿時刻 09:45 | まき
2019年5月28日
14歳の女子中学生です。
昨日入浴中にいきなり、息が苦しくなって眠くなり目が回ってなんか体に力がうまく入らなくてこのまま倒れそうな感じだったんですけど、15分ぐらいしたら落ち着いたんですけどこれって病気とかじゃないですか?
投稿時刻 11:02 | ふゆな
2019年5月29日
初めて過呼吸になり緊急搬送されましたが、おそらくストレスが原因だと言われました。
帰宅してからもずっと息苦しくて、喉が凄く狭く感じます。
鼻から内視鏡を入れて見てもらったのですが、喉には問題無いと言われました。
それでも喉が腫れ上がっているような感覚がずっと取れないので、呼吸器科に行こうと思っていたのですが、精神科に行った方がいいのでしょうか?
投稿時刻 01:02 | のの
2019年6月2日
4日前の夜中修学旅行中に過呼吸になり看護師さんにお世話になったのですが、その時の症状が今になってもなかなか良くなりません。
食事も1日1回が限界です。
息苦しさ、頭痛、胸の痛みがあります。
まだ一度も病院へ行っていないのですが大きな病院へ行ったほうがいいでしょうか。
投稿時刻 16:53 | 岡本
2019年6月2日
5/20投稿の鈴木さんへ 回答が大変遅くなりすみません。
診療内科で相談された結果、精神科診療を勧められたのであればそちらの方がベターだと思います。入院したほうが良いのかどうかはわかりませんが、症状が出たときにすぐに診察できる環境にあるので、治療を進めるうえで有用と考えられているのではないでしょうか?
投稿時刻 17:03 | 院長 田中
2019年6月2日
まきさんへ 回答が遅くなってすみません。
いわゆるおもらし、医学用語では失禁と言いますが、過換気時に生じやすい理由を私は知りません。
発作時に腹壁がかなり緊張状態にありますので、腹圧がかかった結果と考えてもよいのかと思われます。
投稿時刻 17:06 | 院長 田中
2019年6月2日
ふゆなさんへ
入浴中の変化は血圧が下がったのかもしれません。いわゆる脳貧血です。自宅に血圧計があれば測ってみましょう。
投稿時刻 17:08 | 院長 田中
2019年6月2日
ののさんへ
のどが狭く感じる、でも内視所見では異常がないということですね。
呼吸器科は期間・気管支・肺が専門ですから、部位からいうと耳鼻科領域となりますので、耳鼻科で異常がないのであれば心療内科が良いと思います。
ストレス反応はのどに出やすいのです。咽喉頭異常感症という病名があります。耳鼻科でつけられるのですが、結局治療はカウンセリングや向精神薬などを使うことになるので、精神科医師が診るほうが良いことになります。
投稿時刻 20:50 | 匿名
2019年6月2日
岡本さんへ
過換気症候群でよいと思われますが、今の症状が何も器質的疾患がないということも調べる意味では内科と心療内科がある病院を受診することがベターと思われます。
投稿時刻 20:54 | 院長 田中
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