田中クリニックTOP

マイコプラズマ肺炎

皆さん、新年明けましておめでとうございます。昨年末よりインフルエンザが猛威を振るっており、当院でも警報レベルの患者数(1週間に30人以上)を経験しております。
検査した中には新型コロナウイルスもポツリポツリではありますが検出されており、合わせて注意が必要です。

今回特集に取り上げたのはマイコプラズマ肺炎です。
この病気も昨年秋ごろより急増しており、成人よりも小児に多いのですが当院では成人で診断治療例が増加しております。
そこでマイコプラズマ肺炎に関しての基礎知識を掲載しておりますので読んで頂き参考にして下さい。
今年一年よろしくお願いいたします。健康に関することでしたら何なりとご相談ください。


マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマニューモニエという名前の細菌によって起こる肺炎です。
肺炎の10~20%程度はマイコプラズマが原因で起こると言われています。
幼児・学童・青年期が中心ですが子供を通して家庭や職場など成人への感染もみられます。
マイコプラズマ肺炎は秋冬に増加する傾向がありますが、一年を通してみられます。8年ぶりの流行となった今年は夏以降報告数が増えてきています。
感染経路としては、学校や家庭、職場など人の集まる場所で、咳やくしゃみなどから感染する飛沫感染、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることでの接触感染があります。


潜伏期間と二次感染

マイコプラズマに感染し症状が出現するまでの期間(潜伏期間)は2~3週間と長く、マイコプラズマにかかった人と接触してもすぐには症状が現れません。
この潜伏期間中の内、症状が出現する1週間前から症状が出始めた後10日程度が他者への二次感染を起こす期間です。その為知らないうちに周囲への感染を拡げています。


マイコプラズマ肺炎の症状は?

発熱・頭痛・倦怠感などから始まり、その後コンコンという乾いた咳が出てきます。
咳は徐々に強くなり、痰が絡んだ咳になることもあります。長引く咳が特徴で、熱が下がった後も咳は3~4週間続きます。
上気道炎、気管支炎の原因となることもありますが、一部の人は重症肺炎となることもあり注意が必要です。


マイコプラズマ肺炎の診断

胸のレントゲンだけでは、マイコプラズマが原因の肺炎と確定することが出来ません。
マイコプラズマ肺炎かどうかを調べる方法には「抗原検査」「遺伝子検査」「抗体検査」があります。

  • 抗原検査:咽頭部(のどの奥)をこすって採取した咽頭ぬぐい液を用いた迅速検査。抗原キットを使用して約15分で検査結果が分かりますが、感度は低く陽性率は30%程度と言われています。
  • 遺伝子検査:抗原検査と同様に咽頭部をこすって調べる方法で、マイコプラズマに特徴的なDNAを直接検出するLAMP法で、結果が出るのに半日から一日程度要します。当院では午前中に検査すれば午後に、午後に検査をすれば翌朝に結果が出ます。
  • 抗体検査:病状初期に採血をして、その2週間後の採血との比較(ペア血清)で抗体価の有意上昇があれば陽性です。急性期の一回で調べる方法もありますが、ペア血清より不十分で参考程度です。


マイコプラズマ肺炎の治療

一般的な肺炎に効く抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系)は無効で、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系が有効です。
近年マクロライド耐性マイコプラズマによる肺炎が増えてきており抗菌薬投与後2~3日経過しても発熱が持続する場合、耐性菌の可能性を考え他の抗菌薬での治療が必要になる場合があります。
多くの場合入院しなくても外来で治療することが出来、内服期間は7~14日です。


合併症

気管支炎、気管支喘息、中耳炎、副鼻腔炎、心筋炎、皮疹など、注意すべきものに脳炎、髄膜炎があります。


マイコプラズマ肺炎の予防

マイコプラズマに対する予防接種は今のところありません。
マイコプラズマ肺炎は主に飛沫感染で拡がります。流行期にはマスクの着用、石けんによる手洗いやアルコールによる手指消毒、うがいの励行と、なるべく人混みを避けるようにしましょう。


いつから学校へ行けるの?

学生の場合、第三種学校伝染病に指定されており、出席停止については、特に明記されていません。
学校医やかかりつけの医師等によって感染の恐れがないと認められるまでとされています。
有効な抗生物質による治療を5日間受けており症状に改善がみられていれば感染性がかなり低下しており、登校や勤務には支障がないというデータがあります。症状には個人差があるので医師の意見や本人の体調により判断して下さい。

コメント(0)


お気軽にコメントをお寄せくださいね。

コメントを投稿


コメントRSSフィード

コメントフィード

ページの一番上に戻る