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麻疹(はしか)

みなさん、こんにちは、院長の田中です。
秋祭りが終わり気温が下がってきて冬の気配を少し感じるようになりました。そしてインフルエンザの予防接種が始まったばかりのこの時期にインフルエンザの患者さんを二人診ました。
学級閉鎖も報告されていてインフルエンザの流行は例年より早まりそうです。また風邪症状が長引いて受診された患者さんに肺炎の方が増えています。
皆さん、今年は早めに予防接種を済ませましょう。

今回の特集は麻疹です。先月まで流行の話で騒がしかった感染症ですが下火になったようです。
でも感染力が強く風邪に似た症状で発症するので注意が必要です。いつどのような感染経路で感染するかがわかりませんので発疹が出たらまず疑わないといけません。
当院では感染の根拠となる抗体測定や皮膚所見を皮膚科医と連携をとり診断に努めていますが、診療する機会が少ないのが現状です。
気になる症状のある方は特集の記事を参考にされかかりつけ医にご相談ください。


麻疹(はしか)とは?

麻疹ウィルスによる急性熱性発疹性の感染症です。
感染力が極めて強く、免疫を持っていない人が感染するとほぼ全員が発症し、たった一人の感染者でも周囲20人程度の人々を感染させるぐらいの感染力があります。
空気感染や飛沫感染、接触感染など様々な経路で感染し、好発年齢は1歳児が最も多く、次に生後6~12ヶ月児、2歳児でそのほとんどが予防接種未接種者です。
近年、大人の感染者数の増加が問題となっています。


大人が麻疹(はしか)を発症する理由

麻疹のワクチン接種
  1. ワクチンの未接種
    平成2年4月2日以降に生まれた人は2回ワクチンを接種しているため、麻疹(はしか)にかかる可能性は低いようですが、それ以前に生まれた人はワクチン接種は1回、もしくは全く受けていないという人もいます。
  2. 免疫の低下
    麻疹ワクチンを接種すれば、麻疹ウィルスに対する免疫が体内に人工的に作られますが、接種後に自然の麻疹ウィルスにさらされる機会がないと、次第に免疫力が低下して、麻疹(はしか)にかかる可能性もあります。

症状の現れ方

潜伏期間は10~12日です。
  • カタル期(2~4日)
    38℃前後の発熱、咳、鼻汁、結膜充血などで、熱が下降した頃に口の中の粘膜に白く小さな斑点(コプリック斑)が出現します。この期間が感染力が最も強く、周囲へ感染させる危険性が最も高い時期です。
  • 発疹期(3~4日)
    いったん下降した熱が再び39℃以上の高熱となり、耳の後ろあたりから発疹が出現し、全身へ広がります。
  • 回復期(7~9日)
    解熱して発疹は消え、色素沈着を残します。
合併症として、肺炎、中耳炎、1000人に1人の割合で脳炎を合併します。
このような症状を十分満たさず、一部症状のみの麻疹(修飾麻疹)もみられることがあります。これはワクチンによる免疫が低下してきた人にみられることが多いです。

麻疹(はしか)の診断

特徴的な臨床症状でほとんど診断できます。診断後すべての医療機関が保健所へ連絡し、24時間以内を目途に発生届を提出し、以下の検査を行うことが決められています。

  1. 診断後すぐに、咽頭ぬぐい液、血液、尿をとり、麻疹ウィルスを分離する検査
  2. 採血にて麻疹特異的IgM抗体検査(発疹出現後4~28日)


麻疹(はしか)の治療法

根本的な治療法はなく、抗生物質は効きません。自然経過でも治りますが、つらい症状(熱や咳など)を緩和する対症療法が行われます。


麻疹(はしか)の予防法

麻疹ウィルスは感染力が強く、通常の手洗い、マスクでは予防できません。ワクチン接種が有効な予防法といえるでしょう。
定期接種(無料)として、第1期(満1才~2才未満の1年間)と、第2期(小学校入学前年の4月1日~3月31日)2回接種を行います。

大人の場合

これまでに麻疹(はしか)にかかった経験がなく、ワクチンを2回受けていないという方は、必要に応じて抗体検査を受け、予防接種を受けておきましょう。
☆麻疹(はしか)にかかったか分からない方、またワクチンを接種したかどうか不明な方は、抗体検査を受けその値によってワクチン接種を決めるか、抗体価を測定せずにワクチンを接種するかになります。抗体が十分にある状態でワクチンを接種したとしても、そのせいで副反応が起こることはありません。またブースター効果といって、ワクチンを打つことで抗体を増やす効果が得られることにおいてはメリットになります。
麻疹の抗体検査は、麻疹に感染した可能性の場合には保険適応となりますが、それ以外では保険適用にはなりません。
妊娠中の胎児への影響は、先天性の障害を生じる可能性は低いのですが、流産、早産を引き起こす可能性があります。予防するためにはワクチンを接種することが重要です。
ただし妊娠中は、麻疹、風疹などの生ワクチンを接種することはできません。また赤ちゃんへの影響を避けるために、接種後2ヶ月間の避妊が必要です。妊娠を希望する方は、早めにワクチンの接種を済ませておきましょう。

麻疹(はしか)患者と接触したら
3日以内であれば麻疹含有ワクチンを接種する、また4日以上6日以内であれば、免疫グロブリン製剤の注射を受けることで発症を予防する、あるいは軽く済ませる効果があります。


発病したときは?

周囲へ感染する可能性がある期間は?

症状の出現する1日前(または発疹出現の3~5日前)~解熱後3日。この期間は、外出を控えましょう。

学校を休むべき期間とは?

麻疹(はしか)と診断されたら園や学校へ連絡しましょう。学校保健法では、発疹を伴う発熱が解熱した後3日を経過するまで出席を停止することになっています。

注意事項 麻疹(はしか)患者と接触した人、発熱を伴う発疹のある人は、医療機関にすぐに受診するのではなく、事前に電話連絡してください。

最後に…

クリニックでは麻疹のワクチン接種、抗体検査は実施しておりますのでご相談ください。

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