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肺炎球菌ワクチン

みなさん、こんにちは、院長の田中です。
梅雨のさなかですが、毎日暑い日が続いており、夜が寝苦しくなってきました。
報道では熱中症で搬送されるケースが増えており、一般的には梅雨明けにはもっと増えるのでご注意ください。
GW明けより新型コロナウイルス感染症が5類相当となり、毎日の感染数の報告が無くなりましたので、一般の方には流行についてわからなくなっております。
医師会では独自に集計をとっており、最近では1日200人を超える日があり、政府の分科会では9波が訪れようとしていると発表がありました。
これから暑くなりますが、密になる時にはマスク着用や手洗いなど感染対策に気を付けてください。

今回の特集では肺炎球菌ワクチンを取り上げました。
インフルエンザやコロナウイルスが注目されがちですが、肺炎も重症化すれば命に関わってきます。基礎疾患のある高齢者は特に接種をお勧めします。この記事を参考にしていただきご検討ください。


肺炎球菌とは?

肺炎球菌とは?

肺炎球菌は主に鼻やのどの奥に存在する菌で、子どもでは無症状での保菌が多く、成人でも3〜5%くらいの割合で常在しています。唾液などを通じて感染し、肺炎や気管支炎、中耳炎、髄膜炎、敗血症など重い合併症を引き起こすことがあります。
肺炎は我が国の死亡原因(2022年)の第5位となっており、日常でかかる肺炎の原因で一番多いものが肺炎球菌と考えられています。
肺炎で亡くなる方の97%以上が65歳以上であることから、特に高齢者では肺炎球菌による肺炎などを予防することが重要です。


肺炎球菌ワクチンとは?

肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、重症化を防ぐためのワクチンです。
※肺炎球菌ワクチンはすべての肺炎を防ぐものではありません。新型コロナウイルスなどウイルスによる感染症や、肺炎球菌以外の細菌による感染症は予防することができません。


肺炎球菌ワクチンの種類

肺炎球菌には90種類以上の型がありますが、その中でも肺炎を起こしやすいものに対してワクチンが作られています。
現在、成人の肺炎球菌ワクチンは、「ニューモバックスNP(23価ワクチン)」「プレベナー13(13価結合型ワクチン)」「バクニュバンス(15価結合型ワクチン)」の3種類があります。

  1. ニューモバックスNP
    ニューモバックスNPは23種類の肺炎球菌に効果があります。65歳から5歳刻みで区切った年齢の該当者、60~65歳未満の方で特定のリスクを有する方は定期接種(公費助成)の対象で、対象者は年度によって異なり、該当する方には自治体から接種券が郵送されます。5年後効果が低下してしまうので肺炎の予防には5年毎の接種が推奨されますが、初回接種に限り助成が受けられ、以降は任意接種(自費)となります。
  2. プレベナー13
    ニューモバックスNPと共通する12種類に1種類(6A型)加えた13種類の肺炎球菌に効果があります。原因菌のカバー率はニューモバックスにくらべやや劣りますが、記憶免疫と呼ばれる高い免疫効果を期待することができるため、一度接種すると一生効果が持続します。高齢者の場合任意接種で、これまで65歳以上の方に限られていましたが、2020年5月より65歳未満でも肺炎球菌感染のリスクが高い方の適応が認められるようになりました。ニューモバックスと併用することで強い肺炎予防の効果が期待できます。
  3. バクニュバンス
    15種類の肺炎球菌に対するワクチンで、2022年9月に日本で承認された、3種類の中で最も新しいワクチンです。バクニュバンスは、プレベナー13にさらに2種類の型が追加され高い効果があるといわれています。再接種の必要はなく、任意接種となります。65歳からの定期接種ワクチン(ニューモバックスNP)に先行して接種することでより強い免疫効果が得られリスクを減らすことができます。

肺炎球菌ワクチンの費用

ニューモバックスNP

公費負担がある場合の自己負担4000円(姫路市の場合)

プレベナー13、バクニュバンス

自費扱いのみ

※市町村ごとに定期接種に対する助成の有無やその内容は異なるため市町村への確認が必要です。自費で受ける場合は医療機関によって異なりますのでお問い合わせください。


ワクチン接種後の注意点、副反応

ワクチン接種後の注意点、副反応

ワクチン接種後、注射部位を揉む必要はありません。
接種後急激な副反応(ショック、アナフィラキシーなど重度のアレルギー反応)が出る場合がありますので、病院内でしばらくの間(15~30分程度)様子をみてください。
当日の入浴は可能ですが注射部位をこすらないように気をつけてください。また激しい運動も避けてください。
局所の副反応としては、接種部位の痛み、発赤、腫脹、かゆみ、だるさなどがありますがいずれも数日中にはおさまっていきます。かゆみで掻き壊さないように冷やすなどして対応してください。全身性の副反応としては筋肉痛や疲労感および頭痛、発熱などがあります。
新しい肺炎球菌ワクチンであるバクニュバンスに関しても同様の反応がみられますが、特別な副反応は報告されていません。


接種した方がよい人は

  • 65歳以上の高齢者
  • 以下の基礎疾患を持つ方
    心筋梗塞や狭心症などの心臓病、喘息や肺気腫などの呼吸器疾患、糖尿病、肝機能障害、腎不全などの持病を持っている方、脾臓摘出を受けた方など肺炎球菌に対する抗生剤治療もありますが、抗生剤が効きにくいタイプの肺炎球菌が増加しているため、ワクチンによる予防が重要視されています。

どのワクチンをどう打てばいいの?

日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会によると

    ニューモバックス未接種の方

  • 定期接種対象の方は、まずニューモバックスNPを接種し、1年以上たってからバクニュバンスかプレベナー13を接種する。
  • 定期接種対象外の方は、バクニュバンスかプレベナー13を接種し1~4年後にニューモバックスNPの接種をするのがお勧めです。
  • ニューモバックス接種済みの方

  • 1年以上間をおいてバクニュバンスかプレベナー13の接種を考慮。5年後に再度ニューモバックスNPの接種をするがお勧めです。 プレベナー13とバクニュバンスはほぼ同じ位置づけなので、どちらかの接種で大丈夫です。

肺炎予防のポイント

肺炎球菌ワクチンの接種だけでなく、インフルエンザワクチンも接種することで発症リスクを減らすことが期待できるとされています。  日常生活においては免疫力を高めるために、持病の治療を継続し、規則正しい生活やバランスのとれた食事、適度な運動、禁煙が大切です。
また、外出時のマスク着用、手洗い(アルコールでの手指消毒)うがいの励行、誤嚥性肺炎を予防するために口腔内を清潔に保つことなど心がけてください。


最後に…

当院ではニューモバックスNP、バクニュバンスの2種類のワクチンを取り扱っています。どちらのワクチンについても事前予約が必要ですのでよろしくお願いいたします。

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