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溶連菌感染症

みなさん、こんにちは、院長の田中です。肌寒くなってきましたね。
10月からインフルエンザの予防接種が始まっておりますが、10月下旬よりインフルエンザが流行し始め、学級閉鎖も報告されるようになりました。
今年の流行は早く、予防接種を予定されている方は急がれたほうが良いと思います。例年よりワクチンの生産数が少なく、当院ではかかりつけの患者さんと家族を接種対象としており、そうでない方はお断りしておりますのでご了解ください。

今回の特集は溶連菌感染症です。
喉が痛いと診察に来られる方のほとんどはウイルス感染症なのですが、高熱と食事が摂れないほどの咽頭痛の場合、溶連菌感染症かもしれません。
子供に多いのですが大人でもみられ、適切な抗生物質を投与しないと重症化したり合併症を起こしますので侮れません。参考にしてください。


溶連菌感染症とは?

溶連菌感染症

溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌が、のどや鼻から感染して起こる病気です。
主に学童期の子供が感染しやすい病気ですが、大人にもうつります。
特に免疫力が低下している人、妊婦さんや高齢者、小さな子供がいる人は注意が必要です。
この感染症は基本的には免疫ができますが、溶連菌の流行タイプは5種類程あるので繰り返し(4~5回)かかることもあります。


溶連菌感染症の症状とは?

溶連菌は粘膜や皮膚をはじめ、体の様々な場所に感染しますが、日常的によく見られるのは、のどへの感染による咽頭炎や扁桃腺炎です。大人の場合は症状が現れにくいといわれていますが、感染して2~5日間ほどの潜伏期間の後に、主に次のような症状が出ます。

  1. のどの痛み:のどの奥が赤く腫れ、ひどい時は白い膿がたまることもあります。
  2. 発熱:38~39度の高熱が出ることが多いのですが、なかには微熱で済む人もいます。
  3. 発疹:のどの痛みや発熱のあとに、全身に赤い小さな発疹やかゆみが出ることもあります。
  4. いちご舌:舌にいちごの様なブツブツができます。
  5. その他:頭痛、腹痛、首筋のリンパの腫れが見られることもあります。

検査と治療

診察上、症状や周囲での感染の有無をみて、溶連菌に感染している疑いがあれば、確認のために検査をします。当院では、咽頭粘膜を綿棒でぬぐい、検体をとります。簡単な迅速検査は10分くらいで結果がでます。
また、採取した菌を培養する検査や、経過が長い場合には血液検査によって確定診断が行われます。
溶連菌の感染とわかれば、発熱、のどの痛みなどの症状をやわらげる薬のほか、抗菌薬(抗生物質)を、10日間服用します。

アデノウィルスとの鑑別 高熱やのどの痛みなどの症状を起こす感染症には、溶連菌以外にもアデノウィルスなどウィルス性のものも多く、症状が似ている為見分けるのが難しい場合もあります。
その場合、採血をして体の炎症の程度を調べます。
アデノウィルスに感染しているかを調べる迅速検査もあります。下痢を起こしている場合は便を採取します。
溶連菌の治療には抗菌薬が有効ですが、アデノウィルスは直接作用する薬がなく対症療法となります。

溶連菌感染症の合併症

抗菌薬を飲み始めると、1~2日で熱が下がり、のどの痛みもやわらいできます。
しかし、医師に指示された期間はしっかり飲んでおかないと体内に菌が残り、後日心臓弁膜に障害などを起こすリウマチ熱や、血尿や蛋白尿むくみを伴う糸球体腎炎、他にも中耳炎、気管支炎、リンパ節炎などの合併症を引き起こすことがあります。
症状が治まったからといって勝手に薬をやめず、指示通りに最後まで飲みましょう。


予防および日常生活の注意点

  • 溶連菌は咳やくしゃみなどによって近くの人に感染したり、皮膚の接触や溶連菌に汚染された食品や飲み物を介して感染することもあるので、手洗い・マスク・うがいなどで予防することが大切です。
  • 発熱やのどの痛みが出ている急性期は最も感染しやすく、家庭内感染しやすいのもこの時期です。急性期には特に気を配り、家族に同じような症状があれば受診してください。
  • のどが痛いときは、辛い、熱い、すっぱいといった刺激物は避けましょう。特に熱があるときは水分補給を中心にのどごしのよいものをとりましょう。
  • 熱が下がれば入浴しても大丈夫です。

仕事復帰はいつから?

感染症からの復帰

溶連菌感染症は、学校保健法では第三種の感染症として分類されていますが、出席停止の期間については「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」とだけ定められています。
抗菌薬を服用して24時間たつと感染力はほとんどなくなるため、その時点で熱が下がって全身状態も良ければ、基本的に登校(園)可能です。
大人の場合、職場復帰の目安に明確な決まりはありませんが、少なくとも受診した日とその翌日は出社を控えましょう。
また、職場で定められている「就業規則」に従って、出勤停止をするのが良いでしょう。
判断に悩む場合は医師に相談しましょう。


最後に…

当院では溶連菌の迅速診断キットを用いて診断が可能です。
咽頭所見で疑われる場合は必ず検査をしておりますし、ウイルス感染との鑑別が必要な場合は採血も考慮して診断しております。
喉を鏡で見てください、咽頭に白い膿が付着していたらかなり疑わしいので、市販薬で様子を見ずにすぐ受診してください。

コメント(3)


2018年2月24日

こんにちは。
ステロイドで質問をしたのに、連投して本当に申し訳ありません。
もう一度だけ相談させてください。

病気が治らない、わからず悩んでいます。
数週間、家族3人が
せきがひどい、のどが痛い、37度代の熱。たまに手のしびれ、尿量の減少。
皮膚には赤い血のような点ができます。点状出血のようです。私だけ下痢。

開業医や総合病院で長引く風邪だと言われましたが、1か月も治りません。
インフルエンザは陰性。

これは関係ないかもしれない。
母は抗生物質を飲んだら足が薬疹のように傷になり、体が熱い。
私の足はケガしていないのに傷ができました。父はありません。

質問1)
このような病気はありますか。何かの感染症ですか、免疫異常ですか。
消化器内科や何内科か分かりません。

2)
また、高齢者は白血球やCRPが正常でも感染してることがありますか。
親は症状はあるのに血液検査は正常と言われます。私は白血球が高いが。
他の検査をしてもらえません。

医師に何を調べてもらえばいいのか分かりません。

何度もありがとうございました。

投稿時刻 15:27 | 佐藤

2018年2月25日

佐藤さんへ

大変難しいケースで私には的確な回答ができず申し訳ありません。

ヒントとしてはお母さんの抗生物質による薬疹が、ペニシリンを投与されたのだとすればEBウイルス感染症の可能性があるということです。慢性化することも報告されています。

大きな病院の総合内科、感染症内科にかかる方が良いと思います。免疫疾患の可能性はあります。

高齢者では反応が鈍く、炎症反応が正常でも感染症はあり得ます。特にウイルス感染症では白血球、CRPともに上がらないケースはあります。むしろ白血球は減少します。

あくまでも参考にしてください。他にも鑑別疾患はあると思いますが、経験不足でコメントが十分できません。

投稿時刻 11:15 | 院長 田中

2018年2月25日

田中先生

本当にありがとうございました。とても参考になりました。
病院で調べてもらおう思います。

投稿時刻 17:52 | 佐藤

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