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アニサキスによる食中毒(アニサキス症)

みなさん、こんにちは、院長の田中です。暑い日があり、30度を超えることがあり、熱中症に気を付けてください。
今月7月5日は開院して15年となります。無事15周年を迎えることが出来るのも皆さんのおかげと感謝しております。引き続きよろしくお願いするとともに、ご意見などあれば何なりとお申し付けください。
気温が上がるにつれて増えるのが食中毒です。市内で食中毒の報告が増えつつありますので、この時期生ものの摂取には十分気を付けて頂き、なるべく加熱するようにしましょう。

今回の特集は食中毒の中でも寄生虫であるアニサキスを取り上げました。
胃痛で来院された方には必ず生魚を摂取していないか問診しています。
アニサキス症以外の食中毒一般についても記載しておりますので参考にしてください。


食中毒とは?

アニサキスによる食中毒(アニサキス症)

原因となる病原体(細菌やウイルス、寄生虫など)が付着した食品や有毒な物質が含まれた食品を人が食べることによって発症する病気のことを言います。
食品に菌が付いても匂いや味が変わることがないため、気づきにくいことが特徴です。
食中毒の原因菌の上位を占めるのがカンピロバクター・ノロウイルス・アニサキス・サルモネラです。

参考までに ノロウイルスや病原性大腸菌o157などは、食中毒の原因になることがありますが、感染者の吐しゃ物や便などからの感染の場合は食品を介していないため食中毒とは言いません。

食中毒の分類

1.細菌性

  1. 毒素型:ボツリヌス菌・黄色ブドウ球菌など
  2. 感染型:サルモネラ菌・赤痢菌・カンピロバクター・腸炎ビブリオ・病原性大腸菌など
  3. 中間型(生体内毒素型):ウエルシュ菌・セレウス菌など

2.ウイルス性

ノロウイルスなど

3.寄生虫性

アニサキスなど

4.化学物質性

農薬・有機水銀・鉛・ヒ素など

5.自然毒性

  1. 動物性:ふぐ毒・麻痺性貝毒・下痢性貝毒など
  2. 植物性;毒キノコ・トリカブト・じゃがいも芽など

今回は、梅雨に入るころより報告件数が増えてきている寄生虫「アニサキス」による食中毒です。


アニサキスとは?

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。
その幼虫が、サバやサケ・サンマ・アジ・イカなどの魚介類の内臓に寄生し、鮮度が落ちると筋肉に移動します。
人がそれを食べることで食中毒(アニサキス症)が発症します。


アニサキス症の症状は?

  • 胃アニサキス症:食後数時間で、みぞおちの激しい痛み・悪心・嘔吐を生じます。
  • 腸アニサキス症:食後十数時間から数日後に、激しい下腹部痛・腹膜炎症状を生じます。

多くは胃アニサキス症です。治療は胃内視鏡で幼虫を摘出するのが一般的で、速やかに症状が消失することが多いです。
アニサキスは胃液によって死滅するため生存期間は長くても4日ほどです。症状が治まってから検査してもアニサキスが原因か分からないことがあります。
症状からの経過でアニサキスによる食中毒が疑われる際は、速やかに内視鏡検査が可能な医療機関を受診してください。

アニサキスアレルギー

発熱やじんましんなどのアレルギー症状を伴うことがあります。
その際検査(採血)で、アニサキスIgE抗体陽性であればアニサキスによるアレルギーの可能性があります。


予防のポイントは?

  1. 生食を避ける
    アニサキスは加熱(60℃で1分、70℃以上では瞬時に死滅)や、冷凍(-20℃で24時間)で死滅します。
    アニサキスは料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびでは死にません。
  2. 目視で確認し、アニサキスを除去する
    アニサキスの幼虫は長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のようなものなので肉眼で見ることが出来ます。
  3. 魚介類を生食する時にはより新鮮なものを選び、速やかに内臓を取り除く
    特に内臓は生で食べないようにしましょう。そして魚介類の保存温度(4℃以下)にも注意しましょう。

※食中毒の予防3原則は、菌を付けない・増やさない・やっつける


買い物をする時

魚・肉・野菜など生鮮食品は新鮮なものを選びましょう。
要冷蔵のものは、買い物の最後に買い、肉や魚の汁が他の食材につかないようポリ袋などで包みましょう。
エコバックは保冷バックを利用することをお勧めします。


家庭で調理する際やバーベキューをする時

  • 手洗い時は石鹸を使ってしっかり洗いましょう。
  • 手を拭くタオルやふきんも清潔なものを使うようにしましょう。
  • 肉や魚を切ったまな板、包丁でそのまま野菜を切ることは避けましょう。
  • 食肉を扱ったまな板、包丁は速やかに洗剤で洗いましょう。その後熱湯消毒をするようにしましょう。食材によってまな板を替えられるとより安全です。
  • 食肉は中まで十分に火を通しましょう。カンピロバクター、腸管出血性大腸菌は、75℃で1分加熱すれば死滅します。
  • 生肉を食べる箸を分けるようにしましょう。焼き肉をする際は、生肉はトングなどを使い、食べる箸とは別にしましょう。
  • 野菜にも菌が付着していることがあります。必ず洗ってから使ってください。
  • 冷蔵庫を過信しないようにしましょう。低温でも生き続けるので、冷蔵庫に入れたことで安心しないようにしましょう。
  • 調理前後の食品は、室温に長く放置しないようにしましょう。

食事をする時

  • 食事前には手を洗いましょう。
  • 調理後はなるべく早く食べるようにしましょう。
  • 残り物を温めなおす時でも十分に加熱しましょう。
  • 時間が経ちすぎている食品、臭いがおかしいなど変だと思うものは捨てましょう。「もったいない」が危険です。あきらめも肝心です。

食中毒かもと思ったら・・・

腹痛・嘔吐・下痢・発熱があれば、食べた物や症状が出始めるまでの時間をメモしておくと診察の際、手掛かりとなります。同じような症状の人が家族や周囲にいるかなども大切な情報源です。
脱水に注意しましょう。水分(スポーツドリンクが良い)を十分補給しましょう。嘔吐などひどく水分摂取困難な時は点滴が必要ですので、速やかに医療機関を受診しましょう。


最後に…

当院では内視鏡検査が出来ない為、アニサキス症が疑われた場合、数日たっていても症状が持続している場合は他の疾患も考えられ、胃カメラを近隣の医療機関へ紹介しております。
連携をとっている医療機関が数か所ありますし、希望の医療機関があれば紹介することが可能ですのでお申し出ください。
症状が改善し胃カメラでも異常がなければアニサキスはすでに死滅している場合がありますので経過をみるだけでよいと思われます。

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