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更年期障害

みなさんこんにちは。院長の田中です。
今まで、「今月の特集」と「院内報」とでお伝えしておりました医療企画ですが、リニュアルに伴い、一つになってパワーアップして新スタートします! 様々な点から医療の世界に目を向けて、少しでもみなさまの健康のお役に立てれば、と考えます。


更年期とは?

更年期とは、生殖期(性成熟期)と非生殖期(老年期)の間の移行期をいい、卵巣機能が衰退し始め消失する時期にあたります。日本人の閉経時期は45歳から56歳で、平均閉経年齢は51歳です。更年期とは閉経前後の約10年を言います。


更年期障害はなぜおこる?

初経、妊娠・出産、閉経といった女性特有の体の働きを支配しているのが卵巣から分泌される女性ホルモン、特に卵胞ホルモン(エストロゲン)です。エストロゲンは40歳頃より低下しはじめ、更年期障害はこのエストロゲンの分泌が急激に減少することによって起こります。


更年期障害の症状

エストロゲンの低下に伴う様々な身体的症状および精神神経症状が更年期障害の特徴です。

  • 血管運動神経系症状
    顔がほてる、汗をかきやすい、腰や手足が冷えやすい、息切れ、動悸、頭痛などの症状が代表的です。顔がほてる、汗をかきやすいなどはエストロゲン欠乏症の代表的症状です。これらの症状は、閉経(平均50.5歳)前後によくみられ、通常5年ぐらいで消失します。
  • 精神神経系症状
    不安、いらいらする、気分が落ちこむ、寝つきが悪い、眠りが浅い、記憶力減退、めまい、はき気があるなどの症状です。
  • 運動神経系症状
    肩こり、腰痛、手足の痛み、関節痛、しびれなどが代表的です。
  • その他の症状
    腟・尿道粘膜の萎縮や分泌物の減少をきたす閉経後膣炎のために、膣前庭の灼熱感、掻痒感、乾燥感および性交痛が出現します。膀胱および周辺の筋力低下にために、頻尿(排尿回数の増加)、尿失禁などの排尿障害が出現します。その他に皮膚の知覚異常、疼痛、しびれ感、蟻走感なども生じます。
  • 合併症
    エストロゲン低下により骨粗鬆症,高脂血症,動脈硬化が合併します。


更年期障害はどうやって診断するの?

特徴的な症状は、ほてり・発汗・冷えに精神症状です。まず症状から疑うのですが、器質的疾患(内科疾患や精神疾患など)を除外する必要があります。

エストロゲンの低下と卵胞刺激ホルモンの上昇を測定することによって診断します。
血中ホルモン値は閉経後の場合は測定しなくてもよいと思われますが、閉経前の場合,血中エストラジオールは50pg/ml以下,卵胞刺激ホルモンは20mIU/ml以上であれば卵巣機能は低下と判断します。


何科を受診すればよいの?

複数の特徴的な症状があれば、更年期障害が疑われるので、婦人科を受診すればよいのですが、器質的な疾患の除外が必要です。たとえば動悸があれば循環器疾患かもしれませんし、発汗と動悸では甲状腺疾患との鑑別が必要になります。主症状に関してまず専門科で診てもらうか、内科で総合的に相談されるのもよいと思います。治療に関しては婦人科が専門です。


更年期障害の治療について

ホルモン補充療法

症状がエストロゲンの低下によって起こるので、エストロゲンを補充してやればいいのです。ホルモン補充療法を行ってはいけない人(子宮内膜癌,乳癌,血栓症,ポルフィリン血症など)を十分注意する必要があります。
エストロゲン剤やエストロゲン剤+黄体ホルモン剤の併用療法が行われます。婦人科が専門ですので、種類、量などは個々に決められると思います。副作用として子宮出血,乳房緊満などがあります。

漢方薬

漢方薬には更年期障害に効くものが数種類あります。とりわけよく処方されるのが、加味逍遥散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸の三つです。それぞれ体格や症状などにより使い分けをしますが、漢方専門医に相談されるか、婦人科医も最近ではよく漢方を処方していますので、相談してください。

抗精神薬

更年期障害によくみられるのが、不眠や不安、イライラなどの精神症状です。これらの症状の強い方は、症状を緩和するために精神安定剤や睡眠導入剤も必要になる場合があります。


男性にも更年期ってあるの?

男性においても中年期以降に男性ホルモンの低下により、女性の更年期障害に類似した症状が出現することが明らかになってきました。男性更年期障害には、ほてりや疲労感などの身体的症状、集中力の低下やいらいら感などの精神神経的症状、勃起しにくいなどの性機能障害などさまざまな症状があります。

主症状

精神・心理症状
抑うつ、いらいら、神経過敏、不安、疲労倦怠感、生気消失
身体症状
発汗、ほてり、睡眠障害、持続力低下、体力低下、筋肉痛、骨密度低下
性機能関連症状
性欲低下、勃起力低下

原因

男性ホルモンの低下が基礎にあり、それに社会的もしくは心理的ストレスが加わって発症すると言われています。

診断

問診、泌尿器科検査(前立腺や精巣)、男性ホルモン測定などより診断します。

治療

女性と同様にホルモン補充療法や漢方薬、抗精神薬などの薬物療法

専門科は?

泌尿器科が専門ですが、更年期の専門医は少ないです。専門外来を設けている施設も増えてはいます。調べてから受診してください。


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最後に…

更年期障害の症状は不定愁訴であることが多く、器質的な疾患でないので、内科を受診した場合、安定剤などで治療されているケースが多いと思われます。
男性の更年期はまだ最近になって注目され始めたのですが、女性の更年期障害は診断および治療は確立されていますので、専門医に診てもらいましょう。クリニックでも更年期障害の診療はしております。
治療は漢方薬になりますが、有効でない場合、症状が強い場合はホルモン療法がよいと思いますので専門医へ紹介いたします。

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