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冷え症

みなさん、こんにちは、院長です。
先月中旬からインフルエンザの予防接種も始まっており、だんだん冬の訪れを感じさせる気候になってきました。みなさん風邪を引かないように普段から気をつけてください。これからの季節は、寒さがつらい人も多いと思います。院長はどちらかというと暑がりなのですが、冬には手足が冷たくなってしまいます。
今回の医療特集は冷え症をとりあげます。
冬だけではなく、夏場でもクーラーがつらいという方もいらっしゃいます。特に女性に多く、病気ということでもないので、受診しても体質としてみられ、よくはならないと思われがちです。
当院では冷え症にも興味をもって診療しております。特集記事を参考にして頂ければ幸いです。


冷え症とは?

冷え症とは、人が寒さを感じない程度の温度環境下で、手足、体の一部、または全身に冷えの苦痛があるものと定義されています。
具体的には、寒がりで手足や腰・下半身などが冷えてつらい、暖房器具が手放せない、冷房をきらう、夏の就寝時にも靴下をはくなどに表されます。急激な温度変化、不規則な生活、過度なストレスなど、現代病的な側面が冷え症の増加に深く関わっていると考えられます。


冷え症と関連のある病気とは?

  • 冷えを引き起こす病気~甲状腺機能低下症、膠原病、心機能低下、貧血など
  • 冷えによって悪化する病気~リウマチ、アレルギー疾患、喘息、月経不順、膀胱炎
  • 冷えと関連する症状~頭痛、月経痛、腹痛、肩こり、腰痛、関節痛、便秘、下痢、不眠、めまい、意欲低下、不安・抑うつ症状など


冷えが起こるメカニズムは?

冷えの原因には、熱の産生不足と血流障害があげられます。
熱の産生不足は、熱を生み出す原料である食べ物の摂取不足が典型的です。冷えを訴える若い女性に痩せ型が多いこと、ダイエットの影響が大きいことからも言えることです。
また胃腸機能が悪いと食べ物を消化吸収して熱を産生する過程に不具合が起きます。胃腸が弱く食が細いという虚弱体質タイプも冷えが多いです。一日を通して産生される熱エネルギーの約6割は筋肉が作り出しているため、運動不足も冷えの原因になります。特に男性の冷えには運動不足が深く関わっています。筋肉や内臓で産生された熱が、血流によってスムーズに体の隅々まで運ばれる状態が理想なのですが、それが障害されると熱が末梢に届かなくなり、冷えにつながります。
貧血や高粘度の血液による末梢循環障害、動脈硬化や交感神経の過緊張、心機能低下、低血圧などが原因になります。


冷えのぼせとは?

顔や上半身は熱いのに下半身は冷えるといった訴えも多く聞きます。これは自立神経やホルモンのアンバランスなどの要因が重なって血流の調節障害が起こっていると考えられます。家庭や職場で受ける精神的なストレスがホルモンや自律神経に影響して冷え症の原因となります。
交感神経の緊張が続くと血管が収縮して血流が悪くなり冷えるのです。


タバコを吸う人は冷えやすい?

タバコを吸うとニコチンの作用によって交感神経が緊張し、末梢血管が収縮して血流が悪くなります。ストレスを感じてイライラしながらの喫煙だと冷えに対する影響はもっと大きくなるでしょう。


冷え症治療の基本は?

冷え症の原因として自律神経や代謝のアンバランス、血流の低下などがあることを解説してきましたが、これらに対する日頃の対策としては、食事と運動が大切になってくるのです。
まず食事では、体を温めるような食品、または加熱処理したもの(煮たり、焼いたり、蒸したりしたもの)をつとめてとるようにしましょう。運動では歩行運動で十分です。毎日30分くらい、少し早歩きで歩いて、気持ちの良い汗をかくくらいが適度です。筋肉量が少ない人は、筋肉量を増やすためにダンベル運動も良いでしょう。
熱いお風呂に入るのも良いでしょう。なかでも半身浴が効果的で、入浴時間が長くなっても湯あたりせずに、からだの芯まで温まります。


体を温める食べ物、冷やす食べ物

一般に辛い物は体を温めます。香辛料などの辛い物は、胃腸を活性化して消化吸収を助けて、代謝を活発にします。苦い物は体を冷やす食材が多いと言われています。暑い沖縄で苦みのあるゴーヤを食べるのもその裏付けと言えます。
冷え症の人は、体を冷やす生野菜や果物などは控えめにし、温性の食品を多めにとりましょう。しょうが、ネギ、しそなどの薬味は日常の一品に加えやすくお勧めです。


冷え症には服装の工夫も大事

上半身はこまめに温度調節をして、下半身は温かく保つのが基本です。
冬に脱げない重ね着は体温の調節が難しく、かえって発汗を促してしまいます。発汗すると熱が放出されるため、できるだけ汗をかかない工夫が必要です。ですからタートルネックよりスカーフやマフラーを使って首もとを温めるのが好ましいです。暑くなったら脱ぐ、寒くなったら着るという調節をまめに行うことが大切になってきます。男性ならベストやカーディガンを着たり、マフラーを使えば温度調節がしやすいでしょう。
足元の保温には、5本指ソックスがお勧めです。足の指は広げることで血流がよくなり、指の間の汗も吸収してくれ、ぽかぽかになります。


冷え症は何科を受診すればいいの?

冷え症を起こす基礎疾患もありますので、まず内科で原因を調べてもらうことが必要です。
ただ原因疾患がない場合、西洋医学での治療効果を期待することは困難です。末梢血管を拡張させたり、血流を改善させる作用の薬もありますが有効とは言えません。漢方なら、患者さんの病態に合わせて薬を調合することができますし、副作用も少ないです。
漢方専門医なら冷え症は経験豊富であると思われます。


冷え症の漢方治療

冷え症は漢方薬の得意とする分野だといえます。一概に冷え症といっても原因が様々であり、血流をよくするだけでは改善が難しいです。漢方薬は気・血・水のバランスをとる作用があり、いろいろな生薬が配合されています。
全身が冷える人は代謝や消化機能が悪い人が多く、それを改善させる生薬が必要です。むくみがある人は、水分バランスを整える生薬が必要です。
冷えのぼせの場合は、温めるだけではかえってのぼせが強くなります。漢方薬では、冷えとのぼせのバランスを保つことができるのです。


最後に…

これから寒くなるにつれて、冷えが辛くなる人が多いことと思います。日常生活習慣に気をつけることも大事です。
それでも辛いときは漢方がお勧めです。
院長は専門医の資格はありませんが、日本東洋医学会会員であり、冷え症の漢方治療には興味を持っており、治療経験はありますのでご相談ください。

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