冷え性2
みなさん、こんにちは、院長です。
最近風邪の患者さんが増えておりますので、手洗い、うがいなど予防に心がけてください。
インフルエンザの予防接種も始まっておりますが、11月中に接種するようにしてください。
またコマーシャルの影響と思われますが、肺炎球菌ワクチンを希望される方も増えております。肺炎は死亡原因の第4位です。高齢者や感染しやすい基礎疾患のある方は接種が望ましいと考えますのでご相談ください。
今回の医療特集は冷え性をとりあげます。(※前回の冷え性の特集はこちら)
冬だけではなく、夏場でもクーラーがつらいという方もいらっしゃいます。特に女性に多く、病気ということでもないので、受診しても体質としてみられよくはならないと思われがちです。
日常生活に気をつけることで改善できるかもしれません。参考にしていただければ幸いです。
冷え性とは?
人が寒さを感じない程度の温度環境下で、手足、体の一部、または全身に冷えの苦痛があるものと定義されます。
例えば、寒がりで手足や腰、下半身などが冷えてつらい、暖房器具が手放せない、冷房を嫌う、夏の就寝時でも靴下を履くなどがあります。また、急激な温度変化、不規則な生活、過度なストレスなど、現代病的な側面も関係していると考えられます。
冷え性の主な原因
●ほかの病気が原因となっている場合
- (主な病気)
- 心不全などの心臓の病気
- 閉塞性動脈硬化症、深部静脈血栓などの血管の病気
- 甲状腺機能低下症
- 自己免疫疾患 など
●特に病気がない場合
作られた熱の量が少ない
運動不足で筋肉量が低下している、食事の量が少ない、胃腸が弱いなど作られた熱をうまく運べない
動脈硬化、貧血、血液粘度が高いなど(※ほとんどがこのタイプの冷え性!!)中でも、自律神経の乱れ(血液循環を調節する自律神経の働きが乱れている)が主な原因!!
今日からできる冷え性対処法
食事や運動、服装など、日常生活に気を配ることによって冷え性を改善することができます。自分にあった対処法をみつけましょう。
体を温める食べ物を食べる
特に体を温める:にんにく、生姜、ねぎ、玉葱、梅干し
体を温めサラサラ血にする:ごぼう、レンコン、人参などの根菜類
※特にお勧めなのはやはりショウガです。
●摂りすぎ注意の冷やす食べ物
バナナなどの南国果実・きゅうりなど夏野菜や葉野菜類・清涼飲料水・ビール・コーヒー・緑茶・白砂糖・豆乳・豆腐など水分が多く白い食品です。
しかし、熱や塩分を加えることで体を温める性質になります。
野菜などは、なるべく煮たり、焼いたりし、サラダなどは大根、玉葱など温めるものを加えたりするとよいでしょう。
●朝食を摂る
朝は体温や代謝がまだ低い状態なので、体温や代謝を高め、体を目覚めさせるためには朝食を摂ることは必要なのです。特に消化がよく、体を温めるものを摂るようにしましょう。手軽なものでは、朝がゆ、お茶漬けなどがあります。
温かい飲み物を飲む
ハーブティーやショウガを入れた飲み物は体を温めるのに一番手軽にできる対処法です。
手足が冷たく、なかなか寝つけない場合に、温かい飲み物を飲むと、寝つきがよくなります。
※ハーブは血行を促す働きがあり、リラックス効果があります。
運動で筋肉を増やす
筋肉を増やすには、おなか・太もも・背中・お尻などの大きな筋肉を鍛えるのが効率的です。
腹筋やスクワットなど毎日の生活に少しずつでも取り入れるようにしましょう。
また、ウォーキングを習慣にすると足の筋肉が鍛えられるほか、下肢の血流を改善することができます。
リラックスする
リラックスすることで、末梢血管が拡張して、手足が温かくなります。何か自分の五感に作用するリラックス法を生活の中に見つけるとよいでしょう。
たとえば、お風呂にハーブ(乾燥させたショウガやローズマリー)を入れるとリラックスでき、体も温まります。
冷え性と漢方薬
漢方においては、冷え性は新陳代謝が低下している場合、血の巡りが悪い場合、胃腸の調子が悪いことが原因であると考えられます。
したがって漢方では、これらの原因を取り除くこと、また体を温める作用のある漢方薬を処方します。
●冷え性に対する漢方薬の処方例
- 六君子湯(りっくんしとう)
- 人参湯(にんじんとう)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸が弱く、作られる熱の量が少ないタイプ
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうがとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血流が悪く、熱を全身にうまく運べないタイプ
- 五苓散(ごれいさん)
- 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅっかんとう)
- 真武湯(しんぶとう)
むくみやすく、体に水分がたまりやすいタイプ
冷え性に効くツボ
●三陰交

親指でツボに当て、足首上をつかむようにし、深いところまでギューッと押しこんでいき、3~5秒ほど押します。
最後に…
冷え性は体質だとあきらめてませんか?日常生活で工夫しても効果がない場合もあり、あきらめている方もいると思われます。
当院では冷え性に対して漢方薬を保険診療で処方しております。冷えが改善すれば他の体調も良くなる方が多いです。ぜひご相談ください。