動脈硬化
みなさん、こんにちは。院長の田中です。
非常事態宣言が解除になり1か月が経過しましたが、今のところ感染者数は少なく流行の兆しはありません。ただしいつ第6波が起こるか想定できませんので、常日頃より3蜜を避け感染対策を引き続き行ってください。
またインフルエンザワクチン接種が始まっておりますが、今年は流行する可能性がありますので接種されたほうがよいと思われます。
当院では新型コロナワクチン接種は今月末をもって終了いたします。3回目接種は来年2月より開始予定です。決まりましたらHPでお知らせいたします。
今回の特集は「動脈硬化」です。
健康診断でコレステロール高値はよく見かけますが無症状のために放置していませんか?
脳卒中や心筋梗塞の発症リスクとなり、採血結果だけではなく生理学的検査でも確認できますので紹介を兼ねて解説いたします。参考にしてください。
※2015年3月の医療特集「動脈硬化」のリライトとなります。
動脈の働きと動脈硬化
動脈とは血液を心臓から全身へ送り出す血管で、酸素や栄養素を運ぶ重要な働きをしています。
年齢とともに老化して血管のしなやかさが失われて硬くなったり、血管の内壁にコレステロールなどが沈着して血管が狭くなることで血流が滞ったりする状態を動脈硬化と言います。
自覚症状がないため、健康診断などで悪玉コレステロール(LDL-C)、中性脂肪、血糖値、血圧値が高くないか定期的に確認しましょう。
動脈硬化は急に現れるわけではなく若いころから始まり、40歳を過ぎる頃より進行し重大な病気を引き起こすこともあります。
動脈硬化が引き起こす病気
動脈硬化が進んでいくと心臓に負担がかかり、高血圧、心肥大、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患、胸部・腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症(主に足の動脈が詰まる病気)などを引き起こす恐れがあります。
動脈硬化の検査
- 血液検査:悪玉コレステロール・善玉コレステロール・中性脂肪・血糖値など
- CAVI(キャビィ)検査:CAVI(動脈の硬さ)、ABI(動脈の詰まり)、血管年齢
- 頸動脈エコー:心臓から脳に血液を送る頸動脈(首の動脈)にゼリーを塗り、超音波をあてます。血管壁が厚くなったり硬くなったりしていないかを画像で簡単に確認できる検査です。痛みもなく短時間で終わります。
CAVI(キャビィ)検査とは

CAVI(キャビィ)とは心臓から足首までの動脈の硬さの程度を表す指標です。ベッドに仰向けに寝た状態で、両腕、両足首の血圧と脈波を測ります。血圧を測る時と同じくらいの圧がかかります。約10分の安静後に検査開始し、測定自体は約5分で終わります。動脈硬化が進行するほど高い値になります。
CAVI判断基準
- 8.0未満/正常
- 8.0以上9.0未満/境界域
- 9.0以上/動脈硬化の疑い
ABI(エービーアイ)とは両足首と両腕の血圧の比のことで、動脈の詰まり(主に足の血管の詰まり)の程度を表します。
ABI判断基準
- 0.9以下/末梢動脈疾患の疑い
- 0.91~0.99/境界域
- 1.0以上~1.3未満/正常
- 1.3以上/足首の血圧が高め
血管年齢とは血管の硬さの程度によって何歳くらいに相当するかを判定します。
検査できない方
- 大動脈のステント治療後は結果の信頼性が低いため対象となりません
- 下肢静脈瘤や解離性大動脈瘤のある方、乳癌手術後で患側の血圧測定ができない方、血液透析をされている方(シャントのある方)は安全性を保つため検査対象となりません
- 不整脈がある方、肥満の方は正確に検査できない事があります
検査上の注意
- 食事制限はありません
- 両腕、両脚にカフを巻き手首に心電図電極、胸に心音測定用マイクをつけますので着脱しやすいゆったりとした服装でお越しください
動脈硬化を進行させない為の日常の注意点
- 食事療法
・肉の脂身、卵黄の摂取を控える。
・魚、特に青魚の摂取を増やす。
・塩分の取り過ぎに注意する。
・アルコールの摂取を控える。 - 運動療法
1日30分以上(できれば毎日)のウォーキング、体操、水泳など運動を継続的に行うことで、動脈硬化の進行を妨げます。また善玉コレステロールが増えることが分かっています。 - 基礎疾患(高脂血症、糖尿病、高血圧など)がある場合は適正な治療を受ける。
- 禁煙
タバコを吸っていると、悪玉コレステロールが血管にたまりやすくなるだけでなく、動脈硬化を防いでいる善玉コレステロールが減ってしまいます。そのため、動脈硬化が発生・悪化しやすくなるのです。
最後に…
当院では糖尿病、高脂血症、高血圧のうち2つ以上がある方を対象に検査を行っていますが1つでも当てはまる方や喫煙されている方も注意が必要です。
異常と判定された方は6〜12か月後に再検査をすることにしております。
この検査を受けることで脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる血管イベントリスクが低下するように役立てたいと思っております。
検査対象に当てはまり、検査ご希望の方はご相談ください。