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喘息と呼気ガス分析

新年あけましておめでとうございます。院長の田中です。
例年より早くに厳寒となり、いつもなら年明けから流行するインフルエンザが12月中旬より増えてきまして、年末にはかけこみで予防接種される方もいました。
予防接種をしていても発症しないわけではありません。軽くて済む方もいればかなり症状が出る方もいますので、手洗い、うがい、マスクなどの予防はしっかりとしてください。

年初めの特集は、当院で新規に採用した検査機器の呼気ガス分析の紹介です。
喘息の診断並びにコントロール状態の指標として有用です。
症状がなく治ったのではないかと思われるくらい調子のよい方に数値が高い場合があり、こういう方は風邪をひかれたり、何か刺激になるものを吸入すると調子が悪くなるので治療状態の指標にもなります。
新しい検査法について記事にしましたので、特に喘息の方は参考にしていただければ幸いです。


喘息ってどんな病気?

喘息とは

気道(空気の通り道)に慢性の炎症が起きて気道が狭くなる病気です。
気温の変化・ほこり・花粉・カビ・タバコの煙・排気ガスなどの刺激に反応しすぎてしまい咳が止まらなくなります。
炎症に伴い、痰も増え、気道粘膜が赤く腫れむくみ、空気の通り道が悪くなるため息苦しくなります。
胸のあたりからゼーゼー、ヒューヒューといったり、ひどい状態だと横になって眠れないこともあります。
これらの症状は夜間から早朝にかけて起こることが多いです。
治療は気管支に直接作用する吸入ステロイド薬が中心で炎症を抑え、発作が起きないように症状を適切に管理することが基本となっています。
炎症状態の評価法としては、炎症で増加する白血球の一種「好酸球」を血液検査で調べたり、症状の聞き取りや、肺機能検査を基に診断や治療方針を決定していました。
しかし、海外で喘息患者は健康な人に比べ呼気中の一酸化窒素(NO)濃度が上昇することが分かり、気道炎症の指標としてNOが注目されるようになりました。


診断に新しい検査法

FeNO

吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定して気道のアレルギー性の炎症状態を評価します。
炎症があると一酸化窒素が増え、30ppb以上だと喘息により気道が過敏な状態と考えられます。
NOは喘息で特異的に高くなるため他の慢性的な咳の診断とも鑑別できます。
この検査は保険診療で実施できます。


測定方法はとても簡単!!

検査時間は測定開始から結果表示まで約2分間

  1. まず十分に息を吐き出します
  2. 専用測定器のマウスピースをくわえ十分に息を吸います
  3. マウスピースをくわえたまま10秒間息を吐きます

あとは結果が出るのを待つだけです。
症状がひどい状態で肺機能検査が難しい場合でも、この検査ならそれ程苦しくなくできます。
ただし、気管支が収縮しているためにNOが十分呼出できないケースでは低めに結果が出る場合があり、それを踏まえて評価する必要があります。


濃度に影響を与える因子

ウイルス感染やアレルギー性鼻炎がある場合は濃度が上昇します。
運動後や喫煙により濃度は低下します。


治療の効果にも役立つ

安定期より発作時のほうが高くなるため炎症の程度が分かれば、それに応じて薬の投与量を増減することもできます。
症状が良好な場合でも呼気NOを測ると基準より高い値を示すことがあり、薬の量を増やせばより良好な状態へと導けます。


最後に…

呼気ガス分析検査は当院でも昨年6月より採用しており、喘息の診断、コントロール状態の評価のため、有用な検査であると実感しております。
検査の説明をしたうえで実施することがありますので、ご理解ご協力をよろしくお願いいたします。

コメント(6)


2015年1月11日

年末の28日にインフルエンザになり、タミフルで熱は下がったのですが、その後咳が続いてスッキリしません。
咳止めのクスリを処方してもらい3日続けてますが、出だすと止まりません。病院では肺炎ではないと言われました他に原因はありますか?

投稿時刻 16:06 | 堀美智子

2015年1月11日

インフルエンザにかぎらず風邪のあと咳が長引く場合、咳喘息が考えられます。インフルエンザと他の感染症(気管支炎)が合併していて治っていない可能性も否定はできません。呼吸器内科を受診してはどうでしょうか?

投稿時刻 23:43 | 院長 田中

2015年10月10日

8月中旬に咳喘息になり呼気ガス分析が一番調子が悪い時48ppbで9月は68ppbで10月は78ppbで調子が良いのに数値が上がってましたが大丈夫でしょうか?9月から現在調子は良いです。
薬はザイザルとオノンカプセルとシムビコ-トタ-ビュヘイラ-を処方されてますがこのまま飲み続けてもいいのでしょうか?
よろしくお願いします。

投稿時刻 20:53 | ひろみ

2015年10月11日

ひろみさんへ
喘息の症状、重症度と呼気ガス分析結果は必ずしもマッチしません。調子が良くても高いということはまだ気管支局所ではアレルギーが安定していないため刺激で増悪しやすいと言えますので、治療を緩めないほうが良いと思います。現状の治療をご継続ください。

投稿時刻 00:38 | 院長 田中

2016年6月19日

2週間ほど前にのどの違和感があり
粘稠な痰や鼻水が出たあとから
咳と痰が続き すっきりしないので
再受診したら呼気ガス検査で、58あり
喘息と言われましたが、呼気ガス検査
だけで、喘息確定は少し心配です。
X-Pも取らずで 大丈夫?ほかの病気は?
と、心配です。 信用して良いですか?
貰ったフルティフォームをしても少しも
良くなった気がしません。

投稿時刻 18:02 | まりも

2016年6月19日

呼気ガス分析だけで喘息と診断を確定することはできません。
確定診断は肺機能検査で一秒量の可逆性が確認できればよいです。
呼気NOはアレルギー性鼻炎があっても高めとなります。アレルギー性炎症のマーカーですので何らかのアレルギーがあると考えます。
レントゲンは他の疾患を否定する意味でも撮るほうが良いでしょう。
フルティフォームの吸入は症状が改善するまでに2週間くらいかかる人がいます。
もし喘息でなくても吸入したことの副作用はそんなに心配いりませんのでもう少し続けてみられてもよいでしょう。

投稿時刻 23:08 | 院長 田中

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